フランス旅行記、続けます。
10月29日(金)
最初の予定では午前中はグルノーブルのLRTに乗り、午後は在来線の列車をディジョンで乗り継いでパリへ戻る予定だった。
ところが、YHを引き払って駅に戻ってみると、SNCFは今日も一部運休が発生している。予定していたディジョンへの列車は運行されるようだったが、なんとなくディジョンを経由するのは危険な気がしてきた。
そこで、16時05分にパリ行のTGVがあるので、これでパリまで直行で戻るプランに変更、指定券を入手する。今回は18EURだった。一昨日の3EURとの差がどこから来るのかはわからないが。
それにしてもこの駅にはロッカーの類が全くない。ド田舎の無人駅ではあるまいし、困ったものだ。このため、一旦LRTとバスを乗り継いでYHに戻り、バッグを預かってくれるよう頼む羽目になってしまった。
まずLRTの車両から。
グルノーブルLRT 2000形
グルノーブルLRT 2000形車内
1987年にLRTが導入されたグルノーブルでは、部分的ながら超低床車が採用され、後の各都市のLRTに大きな影響を与える事になる。デザインもシンプルだが美しい。
グルノーブルLRT 6000形
グルノーブルLRT 6000形車内
その後の路線延伸時には、おなじみの「シタディス」が導入される事になった。面白い事に7車体連接で、都市圏の規模では上回るリヨン(5車体連接)より輸送力が大きい。メトロやトロリーバスも発達したリヨンと、LRTが主役のグルノーブルという違いがあるだろう。
グルノーブルLRT ALine ドニ・パパン
グルノーブルLRT ALine マリー・キュリー
グルノーブルLRT ALineすれ違い
グルノーブルLRT A・BLine アルザス・ロレーヌ
グルノーブルLRT A・BLine グルノーブル駅前
グルノーブルLRT ALine フォンテーヌ・ラ・ポヤ
グルノーブルで時間のゆとりができたが、やはりLRT4路線全線を乗るのは無理だろう。そろそろ市内バスにも乗りたいし。とりあえずドニ・パパン~フォンテーヌ・ラ・ポヤ間のALineを乗り通してみる。初代2000形は運転室の仕切りがガラス張りになっていて、すぐ後に席があるので絶好の展望席だ。郊外部では加速がいいし、優先信号なのか信号待ちがなく、ストレスなく走れる感じ。しかし、中心部に入るとちょっと走りづらくなってきた感じ。道が狭いのに車が意外に多いし、当然人も多い。建物は皆クラシカルだ。
SNCF駅の広場から地下線でSNCFをくぐると、電停設置のスペースがなくて、歩道をそのまま電停に利用しているような所も現れる。アルザス・ロレーヌ付近と比べると庶民的な感じ。
終点が近づくと芝生軌道になり、フォンテーヌ・ラ・ポヤは岩山が迫ってきている。この付近も住宅地なのだろうか。昨日から感じている事だが、グルノーブルは思いの他車が多い。幹線道路が交わり、大型トラックも頻繁に行きかう。もう少しひなびたイメージを抱いていたのだが。
(でも人口は約47万人という事で、これは同じ冬季オリンピック開催都市の長野市(約38万人)より多い)
電車ばかりでなく、たまにはバスもという事で、数ある系統から55系統をチョイス。
グルノーブル バス サッスナージュ・マラディエール
グルノーブル バス セイシネ・パリセ・ヴィラージュ
起点のサッスナージュ・マラディエールはバスの車庫になっていて、回送車も頻繁に出入りする。55系統は平日は20分、土曜日は30~40分に1本、休日は60分毎だ。車両はHeuliez製で、23・30系統と共通の専用車らしい。
住宅地の中をあまりスピードを出さず - というかスピードを出せないような仕掛けが道路には施されている - 走るが、乗り降りが全然ない。途中短区間女性2人組が乗っただけ。
ベルヴェデールを過ぎて市街地と別れ、カーブが連続する急勾配にかかる。それでも沿道にはこじんまりした住宅が山腹にへばりつくように並んでいる。しかし、終点付近はほとんど何もない。木々に囲まれた高台にあり、見通しは良くないものの、木陰に入るとひんやりした感じがしてほっとする。下界は少し暑いなとも感じていたから。行きかう車もさすがにほとんどなく、静かなフランスの田舎の風情が感じられた。
グルノーブルLRT 電停上屋
一部例外もあるが、グルノーブルの場合も他の都市同様、対外電停の上屋のデザインが統一されていて機能的。JCドーコー(最近日本で数多く見かけるMCドーコーの親会社)の大型の広告も設けられている。それにしてもバックの山が美しい…。
グルノーブルLRT CLine セイサン・ル・プリズム
CLineの終点セイサン・ル・プリズムは、人家はそれ程多くないとは思うが、ここでパーク&ライドを行っている。バス路線もいくつか集まってきているようだ。
煮え切らない部分も多少あったけれど、YHに預けていたバッグを引き取り、グルノーブルを後にパリへ戻ろう。
グルノーブル駅
TGVデュプレクス
16時05分発TGV6920は、ダブルデッカー「デュプレクス」を2編成併結。あまりに長くて先頭の機関車はホームからはみ出している。(なので画像は後姿です)客車はパリ方から8→1号車と来て、後部の編成が18→11号車と、日本人の目からは変則的なつけ方をしている。
TGVデュプレクス1等車
指定された2号車の31番は1階席だった。インテリアは一昨日の東ヨーロッパ線と比べると、紫をベースとしていて、むしろおとなしく感じられる。荷物棚がやはり少し窮屈だろうか。車内のあちらこちらに荷物棚が設けられている。
グルノーブル発車前
在来線の農村地帯
リヨンまでは昨日も乗った、カーブが多い在来線だが、110㎞/hは出ているようだ。山がだんだん遠ざかっていく。複線なのだが、リヨンまでにすれ違ったのは3本。一方で通過駅のホームは待ち人が多いようだ。間引きで待たされているのだろうか。
リヨン・サンテグジュペリ駅
リヨンは市内中心部ではなく、空港に隣接するサン-テグジュペリ駅に到着する。屋根が高くて明るいが、寒い…。
いよいよ本格的な高速新線に入り、グングン加速する。
高速道路
しばらくは高速道路と併走するが、マイカーやトラックなど問題にせず、次々に追い抜いていく。全体的には農村地帯が続き、日本の新幹線と違って沿線の人口は少なさそうだ。丘陵地帯にかかり、高速鉄道としては急勾配が連続するようになる。1階席だが車窓は充分に楽しめる。これは簡素な柵のおかげ。一部にははっきりとした防音壁もあるが、この点も日本の新幹線とはかなり異なる。
TGVには本格的な食堂車はないが、2階にBARがある。昼食兼夕食のつもりで、フランスらしく?クロックムッシュー+サラダ+ソフトドリンクのセットが10.9EUR+フルーツサラダ2.1EUR。
(デュプレクスのバーのメニューについては後日ご覧頂きます)
車内を少し回ってみた。2等席はブルーをベースにしたインテリアで、カジュアルなイメージ。客層もそんな感じだ。それにしても最近は日本もそうなのだろうが、1等も2等もノートパソコンを広げる乗客が多い。もちろん仕事という人も多いし、DVDを見ている客も多いみたいだ。
通り抜けは2階部を利用。1階部は全て行き止まりになっている。
(小田急のRSEと似ている)
夕暮れ
パリ・リヨン到着
パリまではもうノンストップ。しばらくうたた寝している間に、陽はとっぷり暮れて、西の空の雲がオレンジ色に染まっている。いくつかトンネルを抜けたようだったが、その先で急に街明かりが増えてきて、パリが近い事を感じさせる。
パリ・リヨン駅はほぼ定刻の到着だった。グルノーブルからは約3時間。ホームが端の方で、母屋までは結構歩かされた。その母屋のコンコースはすごい人だかり。これもまた、間引きの影響なのか?
今日のお宿はレピュブリック広場のそばの「ジュール・フェリー」YH。通りに連なるタウンハウスの一角にあるという、YHとしては珍しいロケーションかもしれない。多少狭いかも。本当はここで3連泊したかったのだが、この晩は空きがあるものの、明日と明後日は満室だという。とりあえず今晩はここに投宿。
コモンスペースには古い鉄道のポスターがいくつも飾られているのが興味深い。
「ジュール・フェリー」YH コモンスペースのポスター
明日は丸々一日パリ滞在。ターミナル駅を訪れ、LRTに乗り、少しは物見胡散もしたいなと思う。でもその前に明日・明後日の宿を何とかしないと…。
申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
《今日のニュースから》
金星探査機「あかつき」 予定軌道への投入に失敗