№377 バスマガジンvol.44(講談社ビーシー/講談社)

 今日はフランス旅行記を1回お休みし、先月末発売になった「バスマガジンvol.44」について書きます。

 まず真っ先に取り上げたいのは、三菱ふそうとUDトラックスの合弁協議が決裂、OEM供給もいずれ打ち切りになるというニュース。
 これはフランス旅行中の10月29日に両社からリリースされていまして、当然私は何も知らず、帰国の後に両社のリリースを閲覧して初めて知ったというマヌケぶりでした。
 ここはオピニオンではないし、経済オンチだから詳しい事は何も書けませんが、正直この合弁協議は一体何だったんだろう?。
 西工の廃業もまた何だったのかと思うし、特にUDトラックスはこれで発売できるバスが全くなくなってしまうので、日デ時代からのヘビーユーザー - 関東で言えば西武バスとか、関東バスなど - は今後どうするのだろう?
 ひょっとしたらこれを機に、観光・高速バスだけでなく、一般路線バスでも外国車、特に韓国製あたりを入れてみようか、と考える事業者も現れるかも知れないと、勝手に考えています。
 韓国の路線車のレベルが、日本と比較してどの程度にあるのかは解かりませんが…。

◆さようなら、エアロキング 第1弾★開発メンバーが語る誕生秘話
 当然のごとくバスマガジンでも、先日生産が終了したエアロキングを特集していて、数回の連載になるようです。
 第1弾は開発秘話で、実物の現役車両として、福島の貸切専業事業者、メール観光のエアロキングの写真が使われています。
「メール」の名の如く、手紙を手にしたミツバチのキャラクターがユニーク。
(近いうちに会社自体を紹介するとか)
 当初からそんな大量生産にはならないだろうと見てボディを呉羽製にしたという下りも興味深いし、発表会には「平凡パンチ」(現在は廃刊)「週刊大衆」なんて所も来ていたというのが面白い。
 ベストカーガイドの「2010年バスの旅」も笑えた。
(ちなみにバスマガジンは、vol41までは、ベストカーガイドの後身のベストカーの増刊号の扱いだった)
 今はどんな国産、いや海外産を含めても、これだけデビューで業界外からも注目を集める新型バスって、日本ではそうそうないからなあ。
 バスマガジンでは、案外楽観的に、エアロキングの生産復活の可能性もあるかもしれないとしています。

◆エアポートバス 徹底リポート
 羽田空港の国際線新ターミナルビルが10月21日にオープン、さらに31日に本格的な再国際化がスタートしたというのは、一般的にも大々的に取り上げられているからいまさら書く必要もないですが、当然路線バスも大幅な再編成が行われる事になりました。
 バスで言うと、旧ターミナル時代はYCATや東京方面の一部に限られていたのが、新ターミナル移転を機にほぼ全路線が国際線発着に変更。
(羽田空港は一経由地の横浜~茂原・館山の路線は、国際線は経由しない)
 一番アクティブなのはやはり地元京急バスで、本体でも写真を掲載させて頂きましたが、ポスト新長期規制のエアロスター・ノンステップをいち早く導入し、JR蒲田駅~羽田空港のシャトルバスを設定するなど、力が入っています。
 10月31日からは国際線→洗足池・東馬込二丁目の深夜バスも開設されているそうですが、京急の一般路線でJR東海道線より西側へ大きく踏み込んだ路線は、1998年まで運行されていた〔園11〕系統(国際線ターミナル~田園調布)以来でしょう。
 また、空港内循環バスの簡単な歴史も、写真で振り返る事ができます。
 ここでは各地から集まる路線バスのみ取り上げられていますが、あと一つ。
 JALが国際線新ターミナル~国内線第1ターミナルに連絡バスを運行しているという事ですが、イラストを見るとKC-RN210CSNみたい。
 京王バスか関東バスの中古と思われますが、ぜひその車両の写真も見たかった。

◆ 西日本車体工業 歴代バスボディ徹底開設 第2回
 まず、趣味の団体が保存しているという、西鉄の「カマボコ」の写真があります。
 個人的には「カマボコ」ってあまりカッコイイとは思っていないけれど、それでもこれだけ美しく磨かれていれば存在感を感じます。
 側面の行先表示の位置もユニークだし、表示の行先自体も貴重なものです。
 モノコックの4枚折戸も西鉄らしい。
 ちょっと脱線しますが、後方に少し見える路面電車もこの団体(vol40に掲載)の保存ですが、どうか西鉄自身が電車・バスの保存をやれないものでしょうか?
 西鉄自体がバスボディの製造を行っていた、その歴史を継承する意味でも。
 後は各地で走っていた「カマボコ」「ハンペン」等の写真が並んでいますが、中古とはいえ南部バスでも走っていたとは。

◆ いすゞ純正バスボディ大研究 第8回
 いよいよKK-規制以降の現行の「エルガ」「エルガミオ」「ガーラ」「ガーラミオ」になります。
 ほとんどが現役バリバリなのでいまさら語る事もないでしょう。
 ただ、エルガより先にデビューしたエルガミオについては最古参がまもなく12年になるため、早い所では来年あたりから置き換えが始まる事になるかも知れません。
 しかし三菱ふそうやUDトラックスが現在中型バスを全く製造していないため、この分野では当分エルガミオ(レインボーⅡ)の天下になるのでしょう。

◆ おじゃまします バス会社潜入レポート vol.44 静鉄グループ
「静鉄グループ」とは、しずてつジャストライン・静鉄ジョイステップバス・静鉄小型バス・掛川バスサービス・秋葉バスサービスを指します。
 静岡鉄道時代は高速バスを運行していなかったとありますが、ローカルなら静岡から東名経由で御前崎方面へ行く路線が頻繁に運行されています。
 昔は静岡~浜松という路線もありました。

画像

 遠州鉄道との共同運行で、東名高速道上のバスストップにも停車していました。
 ただ、所要時分がJRの普通列車とあまり変わらなかったので、競争力を失くしてしまったのでしょう。
 富士山静岡空港への空港バスは、静岡駅からだと最小で30分間隔の運行があり、便数から考えるとずいぶん大盤振る舞いだなあと感じさせられます。
 しずてつに限らず、静岡県には「自主運行バス」という形態が数多くあり、ここにも画像が数枚ありますが、いわゆる「コミュニティバス」とはどう違うのでしょうか。
 その辺についても、簡単でも解説があればと思いました。
 なお、形式などのデータについては、本体の次回更新時に反映させる予定。

◆ ガラリと変わる 青森県のバス事情
 12月4日の東北新幹線新青森延伸は、当然地元のバス業界にも影響を与えました。
 ここでは、高速バスなども含め、各事業者の思惑も交えて開業直前のリポートを記しています。
「ストロー効果」の不安も伝えられていますが、森・湖・山・海と日本でも屈指の風光明媚な自然を誇る県ですから、ぜひバスにも頑張ってもらいたい所です。
 特に十和田湖へのバスの活性化が期待されます。
 あとは十鉄と下北の相互乗り入れによる七戸十和田駅~むつの新路線に注目。
 成功して欲しいと思います。
 バスではないけれど、南部縦貫鉄道の七戸駅は、七戸十和田駅とはどの位離れているのだろうか?

◆ 路線バス全方位レポートvol44 徳島県

画像

徳島バス 徳島~福良線
  御多分にもれず徳島県も徳島市内を除けばバス事業は非常に厳しく、だから明石海峡大橋の開業で高速バスがが開業した事は大きな福音だったはず。
 それだけに、高速道路の割引政策は、何とかしてくれよおというのが、徳島の事業者の本音でしょう。
 徳島に限らず、四国は皆そうでしょうが。
 阿波池田のJRバスの話が少しだけありましたが、かつては徳島線の沿線にもJRバスの路線網がありました。
 それらについては何も触れられていないのが残念。

画像

徳島市営バス 大神子終点
画像

小松島市営バス 小松島港

 県内には今時公営バスが4者も残り、越境(鳴門市営は県境も越える)の路線が多いのが特徴的でしょうか。
 でも小松島市営バスは、今は全車両中型車ですか…。
 空港連絡バスについては、10月31日よりANAの羽田線も就航(実は復活)した事で、利用増が期待される所。
 ともあれ、大阪や神戸からなら高速バスでも充分日帰りできるので、高速バスへの応援も兼ねて、いずれ再び徳島にも足を踏み入れたいと考えています。
(徳島のバスの画像は全て1989年1月撮影)

 今号はこの他にも京浜急行バスの動静(「ワン・ロマ」がもうすぐなくなってしまう!)やIAA国際商用車ショーレポート、最期が近い新潟交通の「なまず」など、全部は書ききれないほど充実した記事がありました。
 一方で休載になった連載も幾つかありますが、「全国乗合バス100選」はまた休みですか…。

 さて1年後には「バスマガジン」は50号の大台に乗る事になります。
 来年は記念イベントなど、期待してもいいでしょうか。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

《今日のニュースから》
大阪市内の一部で停電 府議会の審議が中断

№376 乗り物中心のフランス旅行記 3

 都営バスにも新車(V代車)が入りました。
 大半が久々の三菱ふそうとなるエアロスター・ノンステップですが、巣鴨〔営〕にはBLCハイブリッドも入っていました。
 次回の本体の更新で公開できる見込みです。
 
画像


10月28日(木)
 空は快晴のように見えたが、明るくなるのは8時を回ってから。午前中は鉄道博物館を訪れ、午後にリヨン経由でグルノーブルへ向かうプランを組んである。とりあえずはLRTに乗る。2006年開業という、新しいLRTだ。2路線と小規模なので全線完乗は容易だ。バスと共通の24時間券で4EUR。

画像

ミュールーズ市内交通 24時間券

画像

車内
画像

2系統 コトー
画像

2系統 ユニヴェルシテ
画像

2系統 ヌーヴォバッサン

 YHの近くを走る2系統は、団地の中に位置するコトーと、ショッピングセンターがあるヌーヴォバッサンを結ぶ。特にYHの近くのパレ・デ・スポート停留所からコトーにかけては割と急な勾配が続く。大半の軌道が芝生敷きで、停留所には円形のアーチがかかっている。自動車道と完全に分離されているし、信号がほとんどなく、あっても優先信号になっているのも日本から見るとうらやましい。日本で言えば朝のラッシュ時に当たるはずだが、それ程大げさな混雑にはならない。

画像

1系統 シャテーニェ

 もう一路線の1系統は、SNCFの駅前とシャテーニュを結ぶ。こちらの終点のシャテーニュも住宅地の中という感じ。1系統は円形のアーチは見られない。芝生軌道も短く、一方で道路との併用区間がわずかながら見られた。

画像

自動車博物館

 ミュールーズには鉄道博物館の他、自動車博物館もある。1系統のミュジー・デ・ロート下車。建物がユニークだ。

画像

1・2系統 ポルトジュンヌ

 この両系統は、繁華街に位置するポルトジュンヌで交差する。普通の鉄道のような(例えば阪急の淡路のような感じの)2面4線で、同じホームでの乗り換えも可能だ。

 このLRTは色々面白い。ホームのアーチもそうだが、例えば放送は各停留所毎にバックのBGM?が異なり、音声も男性と女性の両方がある。カラーリングは基本的には3種類で、黄色をベースに赤または黒の幾何学模様がランダムに施されている。(ただし、上の画像のように、日本のバスのような広告ラッピングが施されている編成も多い)
 なお、便数は平日・土曜日に関しては日中は8分毎位だが、20時を過ぎると急に少なくなる。また休日は朝方30分・午後20分間隔とガクンと減る。

 さて、鉄道博物館へは、SNCFの駅からバスで行くつもりだった。ところが、駅舎内に立ち寄ると、どうも様子がおかしい。列車の大部分がバス代行になっているらしいのだ。

画像

ミュールーズ駅 駅舎内

 なんと、本来予定していた12時41分発のリヨン行は運休!その前の11時09分発に乗らないと、次のリヨン行は夕方遅くなってしまう。これも例の抗議行動の影響なのだろうか?(何しろ掲示はフランス語しかないからわからないが)
 今後の事を考えると、残念ながらこれでは鉄道博物館へ行く事ができない。また次の機会という事にして、おとなしくYHに預けてあったバッグを回収しに行く。

画像

鉄道博物館パンフレット

 なお、ミュールーズのLRTでは、まもなく3号路線が開業する。(12月12日)この路線はSNCF路線に直通する「トラム・トレイン」となり、複電圧車が用意されるらしい。ミュールーズ駅前を起点とし、ポルトジュンヌから2系統の線路に入り、さらにダゲールから新線に入って、ルターバッハ(さすがドイツ語的な地名だな)からSNCFに入るようだ。
 この路線が途中鉄道博物館を経由する事になり、駅からのアクセスが格段に良くなるようだ。これは再訪が楽しみになった。いつになるかわからないが…。

画像

バス停

画像

ミュールーズ バス

 LRTと共に市内の足となるバス。
 現状ではこの20系統が鉄道博物館に行く公共アクセスになる。ただしミュールーズでは休日はバスの運行系統が全く変わり、休日は代わって62系統の一部が行く事になるが、駅前からは出ないので注意。LRT3号路線が開業するまでの話だが…。

画像

SNCF4212列車

 リヨン行の4212列車は、ストラスブールを始発とし、ミュールーズで進行方向を変える。客車7両編成で1等1両・2等6両、2等の内1両は、いまや欧州でも珍しくなったコンパートメントスタイルだ。
 窓の外は田園地帯が続く。この路線は再び左側通行だ。アルザス・ロレーヌという地方はやはりドイツの影響大だったんだな、と改めて思わされた。

画像

ベルフォール駅
画像

戦車輸送車

 フランシュ・コンテ地方のベルフォールで、また進行方向が変わる。20分停車。SNCFの列車も、車内は全面禁煙になった。ただし、車内にはN700系のような喫煙コーナーは全くないし、ホームは禁煙じゃないから外で一服という乗客が非常に多い。だからフランスの駅のホームはどこも非常にタバコ臭い。
 駅の構内には戦車を輸送する列車の姿もあった。

画像

モンベリエール城
画像

車窓

 駅のすぐ裏に城がそびえるモンベリエールを過ぎ、山間部にかかってカーブも多くなる。一時雨模様にもなったが、ブザンソンを過ぎると再び快晴。田園風景を楽しむうち、つつがなく定刻にリヨン・パールデュー駅に到着した。

画像

リヨン LRT
画像

車内
画像

ローヌ川
画像

T1系統 モントロシェ

 リヨンにももちろんLRTがある。一般路線は4系統あるが、時間がないのでT1系統でモントロシェまで往復するだけになった。1回券1.6EUR。電車は正面の形態はユニークだが、車両自体はストラスブールやミュールーズと同じ「シタディス」だ。ローヌ川を渡り、もう一つのターミナル駅・ペラーシュ(ここは地下になっていて、メトロのA線と同レベルでの乗換えが可能)を経由してモントロシェの終点に着く。大きな建造物を建造中。スタジアムなのか?気のせいか、T1系統はミュールーズに比べて本数が少ないように思えた。電停に時刻表がないのでわかりにくいのだが。結構混雑する。輸送力が不足しているかもしれない。

画像

リヨンLRT 空港線

 なんと!リヨンには空港アクセスのLRTもある。
 パールデュー駅とサンテグジュペリ空港を結ぶ路線で所要約30分。今回は乗らなかったが、通常のLRTとは全く形式が異なり、スタッドラー社製の「Tango」で半低床型。長距離列車のようなシートが並んでいるようだ。「Rhon express」のロゴがある。一般路線とは運営事業者が異なっているようだ。
 それにしてもLRTが空港アクセスに使われているとはさすが欧州とうならされた(ポルトガルのポルトにもあるそうだが)が、一方で日本で採用できそうな場所はなさそうだなとも思った。

画像

リヨン・パールデュー駅
画像

混乱するコンコース

 リヨンからの近郊列車もまた、大幅な運休が発生、パールデュー駅のコンコースは大混雑している。残された列車もダイヤがかなり乱れているし、フランス流で出発直前までホームの表示が出ないので、乗客も出発案内表示の前から動きようがない。
 グルノーブル行も17時15分が運休になり、45分発になる。5分前になってようやくホームG(この駅はアルファベットを使用)と表示が出る。低床仕様の新型電車(連接車)2ユニットだが、何しろ混雑しているから、せっかくの1等も座れない。
 この列車はなんとか6分遅れで出発。3つ目の停車駅でようやく座れる。ウインターリゾートのメッカへのアプローチにしては穏やかな田園地帯が続くが、やがて遠くに白い山々が見えてきた。もっとも18時を回ればあたりはだんだん暗くなり、19時でもう真っ暗だ。この電車は基本的にはクロスシートだが、連接部はサロン風になっていたり、大きな荷物棚やカウンターも設けられたりして、最近の欧州の新型らしく車内の仕様はバラエティに富んでいる。

 何とかグルノーブル駅に着いた。もう外は真っ暗で、風景のディティールは解からない。YHに行くバスは駅前からは発車せず、駅前からのLRTに1区間だけ乗車して、次の停留所で乗り換えになるようだ。バスは20時台が最終と、意外に早い。YHは空きがあったが夕食はもう作れないとの事だった。しょうがないか。
 今日も疲れた。22時過ぎには就寝だ。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

《今日のニュースから》
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加反対集会 宮崎で開催

№375 乗り物中心のフランス旅行記 2

 東北新幹線がついに新青森まで開業しましたが、午後は強風の影響でかなり混乱したようです。
 昨日は関東地方で強風による混乱が起きています。
 過去には「みやび」の餘部鉄橋からの転落や<いなほ>の脱線事故など、強風からみの事故も決して少なくありません。
 昨今は「爆弾低気圧」がもたらす唐突的な強風・突風が少なくなく、今後風対策は鉄道でもさらに重要になっていくのでしょう。

画像


10月27日(水)
 結局の所、フランスの状況はどうなっているの?部屋のテレビのニュースを見た感じでは、自国の年金改革案に対する抗議行動は、特に大事になってはいないように見えた。むしろインドネシアの火山の噴火や津波とかが大きなニュースになっているようだ。
 では外の天気はどうだろう?ところが、窓の外を見ても、7時を過ぎているのに真っ暗だ。サマータイム終了直前のフランス北部は、8時を回らないと明るくなってくれない。今日は曇り空らしいが…。

画像

RER・B線 CDG1駅改札
画像

RER・B線 CDG1駅ホーム
画像

RER・B線

 さて、パリ市中へ向かうには、鉄道なら空港に隣接する駅から、RER(高速郊外鉄道)のB線を利用する事になる。ホテルの送迎バスで空港を経由してCDG1駅に戻る事になる。空港ターミナル内の道路は、左右から次々に車両が合流するのに、信号が全くなくて危なっかしい。
 CDG1駅は18年前、初めての海外旅行でパリに着いた時にも利用した駅だ。ここで、日本で購入した「フランス・レイルパス」にヴァリテードしてもらって、自動改札なので無料の乗車券を受け取って入場する事になる。ホームは地下で、吹き抜けになっている。本来は2面4線の所、CDG2駅に向かう21・23番線ホームは工事中で、パリ市内方面行の24番線を暫定的にCDG2行にしていた。何の工事だろう?その工事もストで投げ出しているという事はないし、電車も普通に走っているようだ。ただ、ダイヤは若干乱れているようで、所定の8時27分発マッシー・パレゾー行は10分遅れてやってきた。電車も駅も、18年前と変わらないなあ。

(帰国後の話ですが、フランスの会計検査院が、RERの運営について改善の勧告を出したそうです。車両の老朽化や慢性的な列車の遅れについて指摘されたとか。やっぱりなあ)

 今日はTGVの東ヨーロッパ線でメッシに向かい、在来線の列車でストラスブールを経由してミュールーズに向かう。RER・B線は北駅(地下ホーム)に着くが、TGVは東駅からなので、徒歩で移動する必要がある。10分は必要か。
 3日後にパリへ戻ってくるので、不要な大荷物は駅のロッカーに預けておきたかった。ところが、地下にあるロッカールームは何と、空港みたいなX線の荷物検査が必要。手元に小銭もないし、近くにお札を崩せる場所もないのであきらめて持ち歩く事になる。めんどくさい話ではあるが。

 小綺麗に改装されていた出札窓口で10時39分発のメッス行TGV2615列車を予約。パスホルダー料金3ユーロ。
 フランスの駅では、20分前にならないと番線の表示が出ない(この先も皆そう)。それまで大勢の客がソラリーの前で表示を待つ事になる。20分前になって2番線と表示が出た。ICEの隣の編成だ。

画像

車窓

 定時に出発した列車は、15分弱で高速新線に乗り、森の中をグングン加速していく。シャルル・ド・ゴール空港が近く、着陸しようとする旅客機が次々に見えてくる。日本の新幹線と異なり、高架区間がほとんどなく、大半が地べた。ところが、沿線の柵はずいぶん安普請に見える。日本の新幹線のような目障りなものではなく、豊かな農村地帯の風景を楽しめるのは歓迎。ただ、一方で先の東駅のロッカーのX線検査を思い出すと、なんだかアンバランスだなあとも思う。それと、意外に揺れるかもしれない。あと、窓が少し汚いかも。

画像

BAR

 14号車のBARで一息。朝食をホテルで食べたばかりでもあるし、コーラとスポンジケーキで軽く済ませる。ビジネスマンばかりで、携帯を使う人が目立つ。BARにはAED(フランス語ではDAE)が置いてあった。

画像

1等車車内
 車内は1等が2-1配置でグレー系+緑のワンポイント、2等が2-2配置で赤紫系+赤のワンポイント。車両自体は特に目新しいとは思わないのだが、座席の形状がユニーク。車内はノートパソコンのキーボードをたたく乗客が多い。欧州では普通になったシーンだ。2等ではデッキに留まる乗客も少なくない。

 メッスまではノンストップ。途中高速新線上にもいくつか駅があったが、全部通過。どこもローカル線然としたホームしかなかったようだ。

画像

メッス駅ホーム
画像

メッス駅駅舎

 パリから1時間23分、ほぼ定刻にメッスに着いた。駅舎は教会の聖堂を思わせるほど大きく、ドーム状の三角屋根と時計塔が印象的。公共交通の主力はバスで、LRTはないようだ。

画像

ストラスブール行830315列車
画像

TGV合流待ち合わせ

 構内には超低床の新型編成がいくつも見られるが、12時25分発ストラスブール行は旧型の編成。2連×2で、ユニットを正反対にして連結している。前側の編成には「METRPLOR」のマークが入っていた。もうここはドイツとの国境に近く、その影響か右側通行の複線だ。ザールブリュッケンへの複線が分かれた後、右手から、高速新線からの連絡線が合流する。その手前で停止してしまった。案の定パリ方面からのTGVが通過していく。シュツットガルト行9573列車だろうか。
 途中のサルフールから進行方向が変わり、2つの長いトンネルで山間部を抜ける。その先、右手を運河が併走する。水面はこちらより高く見える。
 TGV待ち合わせやら工事やらがあったためか、いつの間にかストラスブールは23分の遅れになった。このためすぐにミュールーズに向かう予定だったが1本遅らせる。

画像

ストラスブール駅
画像

ストラスブール駅駅舎

 ストラスブール駅は、駅舎の建物がガラス張りのドームで覆われている。歩行者の空間を確保したかったのだろうか。壊すよりはいいけれど、そんな事をする必要はない気もするのだが…。

画像

ストラスブールLRT1000形「ユーロトラム」
画像

ストラスブールLRT2000形

 鉄道ファンの間でストラスブールを有名にしたのは、何と言っても1994年に開業したLRT。「ユーロトラム」の斬新なスタイルは、世界中のLRTに影響を与えている。現在は後継の2000形も合わせて運行されている。
(2000形はアルストーム社製の「シタディス」シリーズで、この後も各地で見かける事になる)

画像

フォーブル・ナシオナル停留所
画像

  
 残念ながら今回は乗る機会なし(どのみち今後フランス国内の各地で乗る事になるだろうし)。イル川にかかるナシオナル橋の付近で数枚撮影しただけ。駅から徒歩5分程のフォーブル・ナシオナル停留所はBLineとCLineが経由し、1000形と2000形が並ぶシーンも何度も見られる。なお、ALineとDLineは意外に深い地下線で駅の真下を通過しているようだ。先の駅のガラス張りのドーム内には、SNCFの発着案内とデザインを統一した、液晶式の発着案内が整備されていた。

画像

バーゼル行96245列車

 ミュールーズまではバーゼル(スイス)行のICを利用する。電気機関車が最後部に配置されたプッシュプル・トレインだ。やはりドイツの影響を受けているのか右側通行。かなり早い。途中廃止になった小駅がいくつか見られるようだ。日本と違って廃止されてもホームは残されている。
 ストラスブールから1時間弱でミュールーズに着く。

画像

ミュールーズ駅
画像

パレ・デ・スポート停留所

 駅前にLRTの1系統が乗り入れている。丸っこいフロントだが、ストラスブールの2000形と同じ「シタディス」。
 今日はユースホステルに泊まる。最寄りのパレ・デ・スポート停留所へは、ポルト・ジュンヌで2系統に乗り換えて行く。1時間有効の乗車券は1.3EUR。パレ・デ・スポートは名前の通り、スポーツ公園の傍らに位置する停留所。2系統の停留所では、2つずつの円形アーチが目を惹く。ランドマーク的な意味があるのだろうか。
 予約はしていなかったが、YHには空きがあり、朝食つき18EUR。夕食はポルト・ジュンヌまで歩いて戻り、地元資本のハンバーガー・チェーンで済ませる。わびしい話だけれど、それにしてもここのトイレは、レシートの一番下に記された暗証番号を入力しないと扉が開かない。注文もしないよそ者にタダで使わせたくないからだろうが、フランスというのは色々面倒くさい国だなあ。
 商店街はもうクリスマスの装い。まだ2ヶ月も先なのに。

 LRT乗り歩きはまた明日。そして鉄道博物館も訪問、するつもりだったのだが…。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

《今日のニュースから》
アメリカ・韓国 FTA(自由貿易協定)合意を発表