№364 バスラマ・エクスプレス11 The King -エアロキングの四半世紀-(ぽると出版)
大分遅くなってしまいましたが、「バスラマ・エクスプレス」の第11弾として、8月を持って生産を終了した三菱ふそうのダブルデッカー・エアロキングを特集した「The King」を取り上げます。
基本的には4部構成で、最初に《カタログと広報写真で辿る Kingの足音》。
エアロキング5形式のプロフィールと生産台数が記されていて、当初は貸切事業のフラッグシップと位置づけられていたものが、ダブルデッカーのワンマン運行が認められた事もあって、徐々に長距離高速バス用にシフトしていく様が伺えます。
最後のBKG-MU66JSなんて、完全に夜行高速バス仕様に特化されている訳ですから。
5形式の中で、試作形式のMU612TXが一番売れたというのが興味深い所です。
続いて、《エアロキングとその時代》として、和田由貴夫氏による、他メーカーや外国製も交えた日本のダブルデッカーの歴史やエピソードが記されています。
「日本の法律は想定外へのものへの対応が極めて慎重」という表現(編集後記にもそんな言い回しがある)自体が「慎重」な表現と感じました。
「なんて日本の法律は融通が利かないんだ!」という批判が込められているのは間違いないでしょう。
上に記したとおり、当初の貸切用から高速路線用へシフトしていく様子がこのテキストからも知る事ができるでしょう。
カラオケの採点機なんて、時代だなあとか思います。
メインが《今乗れるエアロキング》《北から南から Kingの雄姿》で、現役では、JRバスグループ各社が中心になっていますが、小田急箱根高速バスの存在も注目されます。
窓ガラスのステッカーにありますが、ICカード(PASMO・Suica)で乗れる唯一のダブルデッカーでもある訳です。
(新宿~箱根線のみ)
その他の事業者では、定期路線バス事業者の高速バス→新規参入事業者のツアーバスという流れが見てとれます。
(神奈中のエアロキングも、関西の事業者に移籍していると聞いています)
現役の事業者の中で火急に後継者を探さなければならないのは、定期観光バス用でありながら1993年製とグループ全体でも古参のグループに属している京阪バスではないかと思われるのですが…。
(京都という事もあるし)
いずれ書きますが、先月発売になった「バスラマ・インターナショナル122」の関東自動車でも、予備車のKC-MU612TAが大阪の規制にかかってしまうのでどうするのか苦慮していると言う事です。
まとめとして、《王の後継車はどうなる》と題し、国産のダブルデッカーの生産が終了した事で、日本のダブルデッカーはどこへ向かうべきか展望が記されています。
バス事業者が協力して海外のメーカーを探すか、エンジンメーカーが海外のボディメーカーと提携するか、いずれにしろ選択肢は多くないだろうとしています。
なお、「メガライナー」の前例を引き合いに出して、12m規制にこだわる必要はないと記されていますが、私個人としては、どこかで書いたはずですが、法律の規制はまだしも、日本で長大車両は以下の3点から疑問だと思っています。
1. 東名・名神などの高規格高速道路はともかく、一般道や、有料道でも首都高速などはきついカーブが多く、運行が難しいのではないか。安全に運行できる乗務員の確保・養成も課題だ。
2. 多数運行されるとしたら、バスターミナルのスペースの確保も問題になる。東京駅八重洲口は現状のサイズでも既に飽和状態に近い。
3. 仮に需要が減少しても転用先は限られてしまう。東京~大阪間だったら大丈夫なのだろうが…。
むしろ販路拡大のためには、長距離高速バス以外でダブルデッカー投入の可能性が示せないかと考えます。
1階がノンステップという構造を生かさない手はない(高速バスだってバリアフリーは必要だ)と思いますので、羽田発着の高需要リムジンバス(横浜・TDRなど)や、「路線バスベースの高速バス」を投入している福岡地域の短距離高速バスなんてどうでしょうか。
もちろんエアロキング並ではオーバースペックだから、一から新規開発する事になりますが、そこそこ需要はあるのではないかと考えています。
最後に主要諸元と外観図、採用実績、構造用件のデータがあります。
公営の秋田市営バスと名古屋市営バスが各1台導入していたのが目を惹きました。
名古屋市営バスは、何に使ったのだろう?
申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
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