№342 横浜カーフリーデー2010
だいぶ遅くなってしまいましたが、先月23日(木・秋分の日)に横浜市の日本大通りで開催された、「横浜カーフリーデー2010」について書きます。
このイベント自体は何度か行われているようですが、今回は「バス再発見!」をテーマに、横浜市内を走る路線バス事業者10者(本当は分社も含めると14者)のバスが展示されました。
イベントの性格上強いメッセージ性をはらんだものになっているのですが、それは後で少しだけ触れるとして、まずは今回展示された路線バスを一挙公開してみます。
※神奈中バスの車内に掲出されていた大会の広告。
《路線バス》
江ノ電バス横浜 255
鎌倉〔営〕の長尺ワンステップ車。
といっても主に収容力を生かし、戸塚駅を中心とした系統で運用されています。
なお大船駅から鎌倉湖畔を循環する系統は、江ノ電バス藤沢による運行。
東急バス AO324
青葉台〔営〕のワンロマ車で、夜間は深夜急行バスで運用されています。
昼間は青葉台駅周辺の一般路線でも運用されるようです。
その車内。
窓上には青葉台〔営〕の他に新羽〔営〕の路線図もあったので疑問だったのですが、時々新羽〔営〕への貸し出しが行われるのだそうです。
相鉄ホールディングス 1010
横浜〔営〕に配置されている、ごく一般的なワンステップ車。
横浜市内では〔浜4〕(横浜駅西口~交通裁判所(循環))、〔浜5〕(横浜駅西口~元久保町~桜木町駅)の2系統が、3月より分社の相鉄バスが運行していました。
今日10月1日より、全路線が相鉄バスの運行に一本化されています。
大新東 横浜230い6
大新東は、元々は日本全国で企業や官庁などの自動車や施設の管理業務、企業の送迎バスや貸切バスなどを運営する大手事業者で、2008年よりシダックス・グループの一員になっています。
これに先立つ2004年より金沢文庫駅西口~レイディアンドシティ間で路線バス事業に参入しました。
これはレイディアンドシティ〔営〕に所属するエルガです。
車両自体はごくごく一般的なノンステップ車。
なお大新東は日本バス協会・神奈川県バス協会に加盟していますが、PASMOは非導入。
フジエクスプレス H2773
フジエクスプレスは富士急行の分社で、東京〔営〕を分社した後、先行して分社していた富士急横浜観光と合併しました。
この車両はその元富士急横浜観光だった横浜〔営〕に所属する路線車です。
2007年の横浜市営バス再編成計画によって134系統が廃止対象となった際、後を引き受けて横浜市内路線に参入しました。
横浜〔営〕ではこの他、横浜~河口湖間の高速バスも運行しています。
なおこのレインボー9mは3台導入されましたが、日本全国でも最後のグループになると思われます。
(この直後にレインボーⅡに移行)
それにしてもキレイどころがお三方もいらっしゃるとは!
川崎鶴見臨港バス 1T428
鶴見〔営〕所属の、ごく一般的なエルガ・ノンステップ。
なお以前は分社として臨港グリーンバスがあり、〔川51〕系統(川崎駅西口~綱島駅)及び〔鶴11〕系統(鶴見駅~江ヶ崎)を運行していましたが、今年の4月に臨港バス本体に再吸収されています。
車内では、昔の「銀バス」などの写真が多数展示されていました。
昭和37年当時という路線図も掲げられていました。
今は廃止になった路線や元住吉営業所がある一方、菊名駅や新横浜駅への乗り入れがまだありませんでした。
(というか、新横浜駅の開業は新幹線と同じ昭和39年)
京浜急行バス Y3961
横浜〔営〕のブルーリボンシティ・ハイブリッドで、主に110系統(横浜駅~杉田平和町)で運用されています。
導入に際して横浜市より補助を受けており、フロントと(開いているので見えない)中ドアに「ECO RIDE」のイラストがあります。
横浜〔営〕は能見台〔営〕と共に分社の横浜京急バスが運行を受託しており、上大岡駅付近では横浜京急バス直営路線があります。
この車両も横浜京急バスが管理しています。
その運転台です。
運転台自体は一般のディーゼルバスと変わりなし。
横浜市交通局 9-1682
浅間町〔営〕のCNGノンステップ車。
今回CNG車はこれが唯一でした。
(横浜市内でCNGバスを運行しているのは横浜市営だけ)
浅間町〔営〕には去年1月に天然ガススタンドがオープンし、これに伴い、それまでCNG供給設備が設けられていた滝頭〔営〕との間で、大掛かりな車両の交換が行われています。
この車両はその後に直接浅間町〔営〕に投入されたもので、CNGノンステップ車としては初めて一般市営バス色になりました。
その運転台で、ATになっています。
なお、新杉田駅からの61・117系統は民営の横浜交通開発が運行しています。
横浜交通開発は磯子・緑両営業所の市営バスの運行の受託も行っています。
小田急バス 10-A251
小田急バスは、今回展示の10者では唯一、横浜市内に営業所がありません。
東急田園都市線のあざみ野駅・市ヶ尾駅への乗り入れがありますが、担当は生田〔営〕(川崎市)・町田〔営〕(東京都町田市)です。
ブルーリボンシティ・ハイブリッドは吉祥寺〔営〕の所属で都内の多摩地域で運用されており、通常は横浜市内では見られません。
小田急バスでは40年ぶりの日野の大型路線車です。
車内では「ハイブリッドノンステップバスができるまで」の展示がありました。
神奈川中央交通 ち87
神奈中バスは横浜市内には横浜・舞岡・戸塚の各営業所と大和〔営〕の中山操車場があります。
舞岡〔営〕の一部及び中山操車場は、分社の横浜神奈交バスが運行を受託しています。
戸塚・東戸塚・緑園都市駅付近には横浜神奈交バスの直営の運行もあり、オリジナルカラーの車両もあります。
ただ、今回展示のこの車両は横浜市内ではなく、茅ヶ崎〔営〕に所属する自転車ラックバス。
昨年より茅ヶ崎駅~辻堂駅などの路線で運行を開始しています。
自転車を積載するとこんな感じ。
このため、ナンバープレートがユニークな位置についています。
先月27日より本厚木駅~宮ヶ瀬・宮の里間の路線でも実験運行が始まりました。
(12月26日まで)
ただ、横浜市内で自転車ラックバスの運行がありうるかというと、ちょっと疑問…。
《会場》
時折雨が強く振るとってもあいにくな天候でしたが、それでも大勢の人々が訪れました。
やはり家族連れが多かったような。
横浜市内を走る事がない小田急のBLCハイブリッドと神奈川県庁の取り合わせは、やっぱり不思議…。
日本大通りは通常は「赤いくつ」が運行されているのですが、「カーフリーデー」開催中は迂回運転となり、当然バス停は休止。
展示されている各バスと一部のブースではスタンプラリーを行っていました。
ここは、そのブースの一つ、「横浜にLRTを走らせる会」。
ブースで配られていたチラシ。
LRT絡みではもう一つ「路面電車と大森の未来を考える会」というNPO法人のブースがあり、こんなチラシを配っていました。
だけど他はともかく、
「見た目の楽しさ・インパクト バス … ×」
って、それはないだろ!ってツッコミいれたくなっちゃうんですけれど…。
(路線バスが10台並んだ、その目の前で…)
ここはオピニオンではないからあれこれ語るつもりはないですが、どうも日本のLRT推進論者の方々って、LRTは一から十までいいことづくめ、作れば何もかもうまくいく、街が大きく変わるぞ、すばらしいぞ!見たいな論調ばかり展開されているように思えます。
(これは№339で取り上げたMOOK本を読んだ時にも感じた事なのですが)
実際問題として、
1.「地下鉄よりはるかに安くつく」とは言っても、やはりそれなりに建設費用はかかる。
(大都市は地価も高いし)
2.地上に与える影響は(人々の暮らし、路上交通)、地下鉄より大きいかも知れない。
それは金では片付かない事かもしれない。
3.軌道系交通である以上、安定して大きな輸送量が確保できなければならない。
4.きちんと採算を確保できなければならない。
赤字やむなしとしても、その補填は誰もが納得できる方法で行われなければならない。
今こそそういった所まで踏み込んで考えた上で、LRT推進を謳うべき時だろうと思います。
もちろん私としても、LRTが実現・成功すればうれしいのですけれど。
「カーフリーデー」の趣旨は解かりました。
公共交通応援を謳う当ブログとしても、マイカーから公共交通への回帰は願う所です。
ただ、本当にこの趣旨を解かってもらいたいのは、休日ごとに行楽地とか、ショッピングセンターの駐車場に平気でマイカーの行列を作る人々なんですね。
何しろ「ETC1000円」とか「一部高速無料」とかの政策が実行された時、反対運動ではなく大渋滞が起きるようなお国柄だから…。
会場に集まった人々だけでなくもっと全国的にこの趣旨を解かってもらう運動が必要だし、公共交通を運営する事業者も、公共性や環境面で訴えるだけでは公共交通は守りきれなくなっている事は明らかだから、公共交通を利用してもらえるような政策・経営努力を自ら示し続ける事が大切でしょう。
申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
《今日のニュースから》
中日ドラゴンズ 4年ぶり8回目のセ・リーグ優勝