№301 日本の旅客機 2010-2011(イカロス出版)

 今日はイカロス出版より発行された「日本の旅客機 2010-2011」(イカロス出版)の「レビュー」です。
 今年は前年より一月早く、先月末に発売になりました。
 なので少々遅いのですが、ここで取り上げます。

 今年も例年通り2つ特集記事が組まれ、その間にメインとなる各社毎の運行機種カタログが挟まるスタイルになっています。
 巻末に白黒でシートマップと全登録リストというのも変わらず。

画像

(2003年6月7日 新千歳空港 JA8905)
 巻頭特集として、『地殻変動にゆれる「日の丸フリート」』
 いまさら言うまでもなく、今年1月19日にJALが会社更生手続きを開始、再建策の一つとしてB747-400及びA300-600Rを一気に全機退役させると発表があったのはかなりのショッキングな出来事でした。
 それも踏まえ、航空各社自身の情勢も踏まえ、退役機及び新型機の行方についての情報が詳報されています。
 私自身、確かに昨年版で「B747-400はこの1年が正念場」とは書きました。
 それにしても特にJALからの全機一斉退役は、ある程度覚悟されていた事とはいえ、大幅な前倒しになった事はショックだった。
(個人的には「ワン・ワールド」(JA8913)をついに撮れなかった…(泣)
 また冷静に考えても高需要路線は決して少なくないので、いきなり全部やってしまうと、需要が回復した時に逆に運びきれなくなってしまうのでは?という気がします。
 もちろん現状ではJALが独断で決める事は許されない状況だし、(これはANAもだけれど)大型機において就航路線がわずかになり、結果少数派に陥った場合、メンテナンスとかも考えたら運用の効率やコストが悪くなりそうな気がします。
 後は去年のクラシックのように、笑顔でお別れを言えるイベントが組まれるといいと思いますが。
 それと上記2機種以上に、B767-300Fがわずか3年でリタイアしてしまうのも(貨物専用機の事業自体が終了)、JAL自身の情勢の厳しさを物語っているかなと感じました。
 JALもANAも、期待は導入が遅れに遅れているB787という事になりそうですが(ANAの1号機がスペシャルカラーになりそうというのは初耳)、前に少し書いたようにまた遅延かとチラホラ噂が出ているようで、果たして来年、少なくともANA機材は「日本の旅客機」で取り上げられるでしょうか?

『旅客機最新データ』
 今年はLCC・地域航空会社も一つのカテゴリーにまとめられ、全体的な総括がなされています。
 機種毎の紹介は昨年と同じ構成で、JAL、ANAともB777-200ER・300ERがトップバッターに据えられています。
 ANAはB767-300ERにウィングレットを装着させるとリリースして大分経ちますが、いまだに姿を現しません。
どうなっているのかな?
 国内線のB777-300の写真は「ガンダムジェット」になっていました。
 早い。
 
〔2010-2011版で初登場の機種〕
 フジ・ドリーム・エアラインズ E175
 
〔2010-2011版で姿を消した機種〕
 スカイマーク B767-300ER

 なお、JALのB767-200はこの時点では2機が残ってはいるものの、すでにラインから外れています。
 それと、FDAの4号機はE170で、機体カラーは緑になるそうです。 

 第2特集が『ニッポンのキャビンはどこまで進化するのか?』
 全然縁がないけれど、JAL・ANAのファーストクラス(F)・ビジネスクラス(C)の、ここ20年の変遷について取り上げられています。
 写真を見た感じでは、両社とも1990年代前半のFクラスより、現在のCクラスの方が遥かに上になっているというのは驚きです。
 上の各記事にも絡みますが、21世紀に入るとJAL・ANA共新サービスはB777でスタートさせるようになっています。
 おぼろげながら、両社とも長距離路線の主役がB747からB777に取って代わる時期が近いと考えていたように思います。
 一つ気になっているのはエンターテイメントのサービスで、いまやエコノミークラス(Y)もAVODのパーソナルモニターが当たり前になり、提供プログラムも飛躍的に多くなっている現状において、F・Cクラスはこの分野ではどうやってYクラスと差をつける事になるのだろう?
(例えばプログラムの数では、決定的な差にはならない気がする。後は例えば、地上のTVニュースなどのプログラムをリアルタイムで視聴できるようにするとか?)

 巻末に『日本の旅客機 全航空会社全機種シートマップ』
 JALでスカイスリーパー・ソロ(F)を装備した3クラスのB747-400はもはや3機だけで、サンパウロ線で飛んでいるようです。
 サンパウロ線は9月一杯でなくなりますから、その時点で運命を共にする事になるのでしょう。
 ANAはB777-300ER新造機の「プレミアム・エコノミー」(PY)のサービス提供が遅れていて、今の所は3クラス(F・C・Y)のまま。
 事前のアナウンスでは今月あたりからサービスが始まるとしていたのですが、今日現在まだ開始のリリースが出ていません。

 最後に『全登録記号リスト』があり、これを見た限りではJAL・ANAともB767-300ER追加発注分(B787遅延対策)の1号機が先月着いているようなのですが…。
 JALはなぜか番号がJA623JからJA651Jと大幅に飛んでいるようです。

 来年は繰り返しになりますが、とにかくB787-8(少なくともANA機)が見られるのか、そしてB747とA300が去り、路線の縮小も避けられないJALフリートがどこに向かうのか、という事になるでしょう。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。