久しぶりに「私鉄の車両シリーズ」をやりますが、その前に。
名鉄と名古屋市が来年の導入を予定しているICカード「manaca(マナカ)」が、JR東海のTOICA及びJR東日本のSuicaと相互利用を行うと、今日リリースしました。
TOICAとの乗車券機能の相互利用は来年春。
またSuicaとの乗車券機能及びTOICA・Suicaとの電子マネー機能の相互利用は、再来年春(当初の想定より1年程遅れるみたい)との事。
それにしても、交通系ICカードも全国規模で普及が進んでいますが、メジャーなカードのほとんどがSuicaと相互利用する事になります。
すぐに思いつく所でSuicaとの相互利用を行っていないのは、関西の私鉄・地下鉄のPiTaPa位。
交通の世界はなんだか、首都圏一極集中が進んでいるような気がします…。
でも、PASMOはともかく、他地域のICカードなんて、コンビニの店員とかには解かるのかなあ?
今日の「私鉄の車両シリーズ」は、そのPiTaPaを導入している阪急電鉄の8000系です。
8000系は、神戸・宝塚線(神宝線)用に製作された通勤車です。1987年の会社創立80周年記念の意味もあり、性能・デザインの両面でモデルチェンジが図られました。
2200系などで長期テストが行われていたVVVF制御を本格的に採用。
MT比を1:1とする経済的な構成で、6000系・7000系との連結も可能です。
車体は前後方向に延伸し収容力の拡大を図っています。
側窓はパワーウィンドウになり、上下に拡大されました。
前面は額縁スタイルとなり、両側の窓を上方まで広げ、その内側に行先・種別表示を設けています。
急行灯と標識灯は一体のケースに収められて斬新さを強調。
このスタイルは9000・9300系まで受け継がれています。
運転台はワンハンドル方式で、一部メーターをデジタル表示とした上、モニターも装備しています。
車内は通常の3ドア・ロングシートですが、内装では阪急独特の木目の化粧板が濃くなっています。
全車両に車椅子スペースと非常通話装置が設けられました。
1989年に宝塚線と神戸線で8連各1編成ずつ運用が始まった後、本格的な建造が始まりました。
この際、8002F~8007Fにおいては、神戸・宝塚側の2両で転換クロスシートが採用されました。
ドア間に6300系のものを発展させたクロスシートを配置しています。
また自動転換装置が設けられ、乗務員室からの一斉転換も可能になっています。
1992年のダイヤ改正時より宝塚線の急行の10連運転が始まり、増結用のMc-Tc2連も製作されました。
1993年製の8033Fより正面のスタイルがマイナーチェンジしました。
正面は額縁スタイルを改め、ゆるい「く」の字を描いています。
行先・種別幕も大型化され、車番が左窓下に移動しました。
1997年製作の8040番台は、走行システムが神戸線用8200系(ワイドドア・座席格納車)と同じになって形式が変更されています。
ボルスタレス台車やシングルアームパンタグラフが採用され、車内では阪急伝統の日よけ扉がフリーストップ式のカーテンになり、LED車内表示機も設けられています。
正面の顔つきがまた変わり、社番は車掌側窓内に表示される電照式となりました。
このシリーズは合計で98両がアルナ工機で製造され、神戸本線で8連×6本・2連×4本(7000系に連結)、宝塚本線で8連×4本・2連×4本が各列車で使用されています。
特に宝塚線の8連は1997年に運行を開始した能勢電鉄直通特急「日生エクスプレス」用として、能勢電鉄用の列車無線搭載等の工事が施されています。
【編成】
←梅田方 三宮・宝塚方→
*Mc 8000* - Tc 8150
*Mc1 8000* - M2 8600 - T1 8550 - T2 8750 - T2 8750 - T1 8550 - *M1 8500* - M2c 8100
* パンタグラフ
今回の記事は
「鉄道ピクトリアル1989年12月臨時増刊号 【特集】阪急電鉄」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル2000年12月臨時増刊号 【特集】阪急電鉄」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル2010年8月臨時増刊号 【特集】阪急電鉄」(鉄道図書刊行会)
「阪急電車のすべて2010」(阪急コミュニケーションズ) 等
を参考にさせて頂きました。
次回の当シリーズは阪神の急行車2000系です。
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