№296 管理人流ダイヤの作り方 4.スジ引きⅢ〔完成〕

 スカイアクセスのダイヤの作成もいよいよ大詰めに来ました。
 いよいよ最大のお楽しみ?<スカイライナー>のスジを引き、完成に向かいます。

<スカイライナー>に限りませんが、長区間ノンストップの列車 … 小田急の<スーパーはこね>とか、近鉄の「アーバンライナー」など … の場合、通過駅の通過時刻など、時刻表上からわかるはずはありませんから、結構難しい部分が多いです。
 ただ、同じ列車でも区間によって走行区間によって条件が異なりますから、一般的には停車駅同士が1直線になる事はあまりありません。
 また特にラッシュ時など、前を走る格下の列車によって足を引っ張られる事も普通にある事です。
 したがって、多少推理力も働かせる必要がありますが、先に引いておいた格下の列車の待避駅での停車時間などを見て、その間を無理なく通過できるようにスジを引いていく必要があります。
 №295(4-Ⅰ)で普通列車から先に引いていくとしたのも、ここに理由があります。

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 荒っぽいのですが、ノンストップ列車のスジの引き方の考え方を記してみました。
 赤いスジの列車はA~B間ノンストップです。
 ところが、だからといって両者を一直線に(点線のように)引いてしまうと、先行する黒いスジの普通列車が待避駅に入る前にぶつかってしまいます。
 なので、ここは途中の駅(ここでは真ん中の線)で走行条件が大きく変わると推理し、ここを境にスジの傾きを変えて、スムーズに先行の列車を追い抜けるように引きます。
 もちろん、追い抜き駅の度に傾きを変えても良いし、特にラッシュ時だと実際にそういうケースが多いのですが。

<スカイライナー>に関してですが、「最高速度160㎞/h」を売り物にしているものの、これを出せるのは印旛日本医大~空港第2ビルのみ。
 実際に乗車してみると解かるのですが、特に日暮里~京成高砂では古い高架線で急カーブが非常に多く、ほとんど高速では走れないはずです。
 また、スカイアクセス(北総線)に入っても次の新柴又まではカーブが意外にきつく、まだスピード全開とは行きません。
(騒音対策もあるかも知れない。北総線の都心乗り入れが大幅に遅れた(1991年3月31日の事で、第Ⅰ期の開業から12年も経っていた)のも、ここに原因があったと聞いている)
 そこで、矢切を境に走行条件が大きく変わると推理し、前後の格下の列車のスジに気をつけつつ、いよいよ<スカイライナー>のスジを紫の線で引いていきます。

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 朝方の下り<スカイライナー>数本のスジを引いた所です。
 先に書いたように、特にラッシュ時だと先行する格下の列車に足を引っ張られてしまう事が多くなります。
 この画像でも中央部に引いた、東松戸を9時頃に通過する<スカイライナー>(8AE13列車)は、新鎌ヶ谷まで先行する普通列車(729Tb)に頭を抑えられ、ノロノロ運転を強いられる事になります。
 新鎌ヶ谷を通過すると、その先でも成田湯川までアクセス特急(705K)の存在はあるものの、ようやくスピードを上げる事ができるようになります。
 したがってこの列車の場合は、矢切ではなく新鎌ヶ谷を境にスジの傾きを変える事でスムーズなスジが引けるようになります。
 ノンストップ列車のスジを引く際は、この辺の見極めも大事です。

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 下りを引き終えたら上り。
 やはり前後の格下の列車のスジに注意しながら引いていきます。
 特に上りのトップバッターの2号(8AE02)は東松戸から先はほとんど普通列車と変わらない傾きになってしまいますので注意。
(ただ私の場合、この列車も印旛日本医大までは最高速度で走るものと推測、印旛日本医大から一度傾きを変えています)
 なお、特に前後の列車のスジ上の制約がない場合は、同じ<スカイライナー>なら、各列車が平行になるように引いていくときれいです。

 それと少し懸念があったのですが、新根古屋〔信〕での<スカイライナー>同士の交換はありませんでした。
 空港第2ビルで交換が可能になっているからでしょう。
(JRの<成田エクスプレス>だとそうは行かず、堀ノ内〔信〕で上りが下りの通過を待つ事になる)

 
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 上りの<スカイライナー>も全列車スジの記入が終わりました。
 最後に、各列車の列車番号と列車名を記入して仕上げます。
 これは人好き好きですが、私の場合は原則として終点の近くに番号を入れます。
(上りの番号は下りと干渉しないように少しずらす)
 ただしここでは、京成高砂から本線の船橋方向に向かう列車の番号・列車名は省略しています。

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 ついにスカイアクセスのダイヤが完成しました。
 後は1時間ごとに用紙を折り曲げ、収納しやすくします。
 おっとその前に、ダイヤの改正日(2010年7月17日)を余白に書き込んでおきます。
 そうしないとこの先ダイヤを作り続けていくと、いったいいつの話だったっけ?という事になって、資料性を失ってしまいます。

 以上が、私流のダイヤの作成の仕方です。
 しかしダイヤの作成に限りませんが、自分が自己流でやっている事を、文章で他の方に説明するというのは、とてつもなく難しいものです。
 写真の他に手書きで説明書きを作って挿入してみましたが、恐らく大半の方にはわかりづらかったのではないかと申し訳なく思っています。
 もちろん全て私流のやり方ですし、「こっちの方がやりやすいよ!」というものをお持ちの方も多いはずです。
 そういうのはどしどし取り入れて、すばらしいダイヤを作ってください。
 ほんのわずかでも、私の方法が参考になれば幸いなのですが。

 最後に、今回私が作成した、2010年7月17日改正(開業)の成田スカイアクセス(京成上野~成田空港)のダイヤ(平日・7月19日より使用)全てを一挙に公開します。
(もちろん長いので、4時間ずつに分けます。)

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4時~8時

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8時~12時

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12時~16時

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16時~20時

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20時~24時

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24時~2時

 今回の連載では
「鉄道工学ハンドブック」「鉄道用語辞典」(久保田博/グランプリ出版)
「ダイヤグラムで広がる鉄(テツ)の世界」(井上孝司/秀和システム)
を参考にさせて頂きました。


 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。