千葉県の小湊鐵道はJR内房線の五井駅を起点として千葉県市原市を縦断し、いすみ鉄道と接続する上総中野に至る39.1㎞のローカル鉄道です。
(「小湊」の2文字は、かつて延伸の構想があった外房線の安房小湊から)
首都圏に位置し、東京から1時間程度でありながらローカル線の原風景をふんだんに残し、最近ではTVドラマやCM、書籍の表紙などにも多数起用されています。
そして、そのローカルムードをさらに盛り上げているのが、同鉄道唯一の旅客営業車両、キハ200形です。
キハ200形は1961年から1977年までの間、14両が5回に渡って日本車輌で製作されています。
全体的な印象は国鉄キハ20型に類似し、エンジンも同じDMH17Cを搭載し、総括制御が可能です。
規格も千葉直通を想定して国鉄の規格に準じていますが、前面は前照灯が左右2箇所になり、アンチクライマーがつくなど、親会社である京成電鉄の「赤電」に近くなっています。
側面も窓が1つ多い事が相違点となります。
1975年製の211号車からは窓がユニットになり、若干近代的な装いになっています。
塗装はクリーム+朱色のツートンカラーを採用し、これも国鉄旧塗装に近いものですが、窓上が朱色になっていない分、多少あっさりして見えます。
車内はキハ20と異なり、全てロングシートになっています。
また、トイレは設けられていません。
冷房化は1990~1992年にかけて、209及び210号車を除く12両に対し、サブエンジン方式で行われています。
ワンマン化がされていないのも、近年の地方鉄道では珍しい存在になりつつあります。
現在に到るまで14両全てが健在で(但し209号車は休車中)、その車両自体が沿線の風景に溶け込む観光資源となって、多くの人々をひきつけています。
営業運転の他、年に数回、五井の気動車区構内で体験運転も行われています。
ただし、最高齢の201及び202号車はまもなく車齢が50年に達しようとしており、紀州鉄道キハ603・604なき今、現役では最古のディーゼルカーになっています。
手入れは行き届いているものの、冷静に考えればそろそろ次期新型車両の導入も検討されて良い頃と思われます。
今回の記事は
「鉄道ピクトリアル1996年4月臨時増刊号 【特集】関東地方のローカル私鉄」(鉄道図書刊行会)
「ローカル私鉄車輌20年 東日本編」「私鉄廃線25年」「私鉄気動車30年」(いずれも寺田裕一・JTBキャンブックス) 等
を参考にさせて頂きました。
次回は埼玉新交通「ニューシャトル」1000系です。
また、このテキストを書くための参考としてニューシャトルに乗車した時のレポートを、その次に書く予定です。
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