№258 私鉄の車両シリーズ59 東京地下鉄6000系

「私鉄の車両シリーズ」、今回は初めて東京メトロの車両を取り上げます。

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 東京メトロ(営団地下鉄)6000系は、1968年にデビューした千代田線専用車です。
 デザイン・システム共にそれまでの通勤車のイメージを打ち破った画期的な車両です。
40年使用可能で、20年経っても陳腐化しない事」をコンセプトに、2次に渡る試作車の経験を基に、1970年~1990年の長きに渡って量産されました。
 年次毎に仕様の変化が見られる他、車体や制御装置の更新工事のため、編成毎の仕様がバラエティに富んでいます。
 1972年鉄道友の会ローレル賞を受賞。

 車体は5000系で試用されたアルミ車体を本格的に採用。
 運転台側の窓を大きく取り、何より窓がない非常用扉を配置した左右非対称の斬新な正面デザインが画期的で、日本の鉄道界に大きな影響を与えました。
 車体は量産車からはさらに軽量化が図られています。
 地下線内での発熱を抑える必要から、世界初の回生ブレーキ併用のサイリスタチョッパ制御を採用しました。

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 車内もレイアウトこそオーソドックスなロングシートですが、荷物棚まで一体にした大型仕切板を設け、さらに貫通路も仕切板の形状に合わせて断面を大きく取り、広々としたイメージを与えています。
 編成の中央部には簡易運転台を設置し、貫通扉で仕切られています。
 当初は、冷房は設けられていませんでした。
(写真は更新後です)

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 その後、製作年次ごとに少しづつ変化が加えられていきます。
 大きく変わったのが1981年製作の4次車からです。
 側窓が2段窓から1段下降窓となり、全車両に貫通扉が設けられました。
 また、冷房取付の準備工事も施されています。
 さらに1984年の5次車では座席の地が赤から緑系になり、天井も高くなりました。
 冷房取付工事は1988年から開始され、1994年に完了しています。
 6次車の6133Fからは最初から冷房を搭載しました。

 1990年以降、制御装置の更新が始まり、特に1995年からはIGBT素子のVVVFインバータ制御が採用されています。
 VVVF化された編成は6M4T→5M5Tに変更されています。
 これとは別に車体の更新工事も行われ、3次車までは一部を除いて2段窓を1段下降窓に変更、車内では貫通扉の増設が行われました。
 行先・種別表示はLED化、さらに、ドアの窓の拡大を行った編成もあります。
 この工事は4次車以降にも行われつつあります。
 編成毎に改造の内容が異なる部分が多く存在し、バラエティに富んでいます。

 現在、1次試作車3連は北綾瀬支線用、他は引き続き千代田線内のほか、JR常磐線及び小田急線への直通運用に運用されています。
(2次試作車の6101Fは小田急への乗り入れは不可)
 しかし初期車両は既に当初目標の40年程度を使用しており、相互直通相手のJR及び小田急は既に3代目(E231系・4000系)に変わりつつあります。
 さらに兄弟車両の有楽町線7000系の廃車が先行している事、後継16000系の製作が発表になったことで、6000系についても今後の去就が注目されます。

【編成】
←代々木上原     綾瀬
 CT1 6100 - T2 6200 - *M1 6300* - M2 6400 - Tc1 6500 - Tc2 6600 - *M1 6700* - M2 6800 - *M1 6900 - CM2 6000
* パンタグラフ
※ 試作車及びVVVF改造車は編成内容が異なる

 今回の記事は
「私鉄の車両22 帝都高速度交通営団」(保育社) ※現在はネコ・パブリッシングによって復刻
「鉄道ピクトリアル1995年7月臨時増刊号 【特集】帝都高速度交通営団」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル2005年3月臨時増刊号 【特集】東京地下鉄」(鉄道図書刊行会)
「日本の鉄道車輌史」(久保田博 グランプリ出版) 等
を参考にさせて頂きました。


 さて、ご存知の方も多いはずですが、京急1000形がいよいよ今月を持って引退する事が、今日のプレスリリースで発表されました。
 27日(日)に「ありがとう運転」(特にイベント的なことはないが、特製マークがつくとの事)が行われる他、記念乗車券も発売になるそうです。
 メトロ6000系も遠くない将来そうなる日が来るでしょうが、ここへ来てJRだけでなく私鉄各社でも、長年主力として活躍してきた各形式の引退が急ピッチで進んでいます。
 次回の「私鉄の車両シリーズ」も、7月24・25日の両日の「さよなら運転」を持って引退する、新京成電鉄800形を取り上げる事にしています。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。(名前は公表しません。)