「私鉄の車両シリーズ」、今回は相模鉄道です。
前2回は既に消滅した6000系について書きましたが、今回は新しい系列です。
10000系は2001年にデビューした通勤車で、設計思想のあり方は、後の鉄道界全体に大きな影響を与えたと言えます。
最大の特色はなんといっても、JR東日本の通勤車両E231系をベースとしている事です。
記す必要もないでしょうが、E231系は1998年に中央・総武緩行線に209系950番台としてデビューした通勤車で、TIMSと呼ばれる新しい制御伝送システムを搭載した上、通勤型と近郊型の性能を両立させています。
車体幅は通勤型としては最大の2,950㎜としました。
2000年にはE231系として本格的に量産が開始され、通勤型が中央・総武緩行線や常磐線快速・山手線等に、近郊型が宇都宮・高崎線や東海道線に投入されました。
10000系はE231の性能を受け継ぎつつ、相鉄独自の仕様も兼ね備えています。
10両固定編成ではE231系にない1M車を組み込み、5M5T編成となりました。
車体幅は若干狭く2,930㎜(それでも(新)6000系・8000系と同じで相鉄では最大)、正面の形態も丸みを帯びたものとなりました。
他はTIMSやワンハンドルマスコンなど、E231系とほぼ同様の仕様を持っています。
駆動方式も5000系以来の伝統の直角カルダンから、平行カルダンとなりました。
座席もE231系同様の片持ち式のバケット形ロングシートとなり、メンテナンスの簡略化が図られています。
車椅子スペースは先頭車の連結側に設けられ、双方向通話型の非常通報装置が設けられました。
なお、8000系・9000系にはクロスシート車があり、一方でE231系の近郊型にもクロスシート車が含まれていましたが、10000系に関しては全車両ロングシートで製作されています。
2006年までの間に、5次に渡って10連×3本・8連×5本の合計70両が製作されました。
2007年の新CI導入に伴い、帯の色が上部=青・下部=オレンジに変更され、新シンボルマークが正面窓下および各車両の側面にあしらわれました。
相鉄では2015年を目標にして、西谷~羽沢(JRの貨物駅がある)間に建設中の新線を挟んだ相鉄=JRの相互直通運転が行われる計画で、既に8000系・9000系ではATS-PやJR対応の列車無線の装備が始まっています。
まもなく10000系にも、JR直通対応工事が行われる事になると思われます。
【編成】
←横浜方 海老名・いずみ中央方→
Tc2 10700 - M2 10200 - *M1 10100 - T1 10600 - *M3 10300 - T2 10600 - 10600 - M2 10200 - *M1 10100 - Tc1 10500
Tc2 10700 - M2 10200 - *M1 10100 - T1 10600 - T2 10600 - M2 10200 - *M1 10100 - Tc1 10500
* パンタグラフ
今回の記事は
「鉄道ピクトリアル2002年10月臨時増刊号 鉄道車両年鑑」(鉄道図書刊行会) 等
を参考にさせて頂きました。
私鉄の車両シリーズ、次回から5回は大手を離れ、地下鉄・都市近郊・路面電車・ローカル線・新交通システムを取り上げます。
次回はいよいよ去就が注目されるようになった、東京メトロ6000系です。
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