№238 横浜市電保存館「トラムポート」

 先日の№220で、横浜市電保存館「トラムポート」が人気だという神奈川新聞の記事を紹介させていただきました。
 市電保存館は過去にも行っていますけれど、当ブログの記事にもした事ですし、新しい展示物もいくつが増えたらしいという事も聞いていますので、先週5月29日(土)に再訪してみました。

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 これが市電保存館の入口になります。
 市電保存館は市電全線廃止の翌年の1973年に開館、その後市営住宅の建設に合わせて改築、その後小規模の改修を繰り返して現在に至っています。
 入口の左手に立っているのは、2007年まで神奈川新町の国道15号線沿いに奇跡的に残っていたというポール。
 近づいてみると、下の方に穴が開いています。
 横浜大空襲の時の被弾の痕だそうです。
 右手は市営バスの滝頭営業所です。
 以前はCNGバスが配置されていましたが、昨年浅間町にCNGステーションがオープンした事で車両を大幅に入れ替え、すっかり顔触れが変わりました。
 日野の大型車(それもBLC以前)の滝頭配置なんて、オールド市営バスファンとしては信じがたい減少も起きています。

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 入場券。
 大人100円です。
 エントランスでは、各種グッズを販売。
 バスのおもちゃもあります。

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 エントランスには「ムービーコーナー」があり、左側にあるタッチパネルで市電の歴史に関するショートプログラム(だいたい3~7分)を選択し、映像を見る事ができます。

 館内は早くから家族連れが多いです。
 土曜日という事もあってか、ママよりはパパの方が目立つ気がしました。

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 メインの展示車両です。
 手前から1007号・1104号・1311号・(1601号があるが、今は多少奥まった位置にあり、このアングルでは見えない)1510号です。
 残念ながら元々ビルの内部にあるため柱が邪魔になる上、最近各車両のドアに通じるスロープが新設されている(バリアフリー対策と思われる)ので、形式写真の撮影には向きません。

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 2軸車の523号。
 1007号より手前にあります。
 カラーリングは新製当時のものだそうです。
 ご覧のように、ドアに向かってスロープが設けられています。

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 この523号で新しく追加されていたのがバーチャル映像システム。
 CGで昔の横浜の街が再現されていて、マスコンの操作により、映像が動いて前進しているように感じられます。

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 1601号。
 市電最後の新造形式で、バスと同様の前中配置になりました。
 この写真では解りづらいですが、前後とも4枚折戸を採用しています。
 カラーは、これも新製当時のものですが、末期には他形式と同じクリーム+青帯になっていたようです。

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 10号。
 戦前は本牧にあった工場からのビールを運ぶ(千代崎町から工場への貨物専用支線があったらしい)貨車で、後に事業用に転用されました。

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 この10号の前の小スペースに設けられているのが「電停カフェ」。
 イス・テーブルの他、飲料等の自動販売機があり、一息つけます。

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 この「電停カフェ」では、市電全線廃止直前の市電の走行風景が、なんとカラーで放映されています。
(だいたい7分ちょっと)
 沿線の市民が撮影していた画像に音楽やナレーションがついています。
 市電だけでなくトロリーバスや、背景として京急バスや相鉄バス、それに相鉄本社ビル(今はシェラトンホテルが建っている所)も映っていました。

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 市内在住の吉村栄氏が製作・収集されたというOゲージのコレクション。
 最近ショーケースが変わっているようです。

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 これが、その脇に新しく設けられていた「車庫入れゲーム」。
 左側にある8本の線路に、6種類の市電が次々に(5分間で30台)現れます。
 これを、トラバーサーを使って、右にある車庫の同じ色の市電のレールに収容していきます。
 写真は昼ですが、時間が経つとだんだん日が暮れて、やがて真っ暗になります。
 市電もちゃんと明かりが点灯してリアルです。
 ゲーム自体は他愛もないのですが、やってみると結構ハマります。
 勝ち負けを競うものではないですから、まったりと挑戦してみてください。
 コツとしては、いかにトラバーサーを無駄なく移動させるか、という事でしょうか。
 後から来た電車を先に車庫に入れる、という事もあるでしょう。

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 もちろん、お約束のパノラマ運転コーナーもあります。
 これはNゲージ。
 1回100円で、持参の模型車両も運転できるそうです。

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 OゲージパノラマとHOゲージパノラマは背中合わせで展示されています。
 これはOゲージから。
 高架橋の電車は、ブレていて申し訳ありませんが、地下鉄グリーンライン。
 市電とグリーンラインが同じ世界を走るというのも、模型ならではでしょう。
 運転時間は、10時台~15時台(12時台を除く)の毎時30分。

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 背面のHOゲージパノラマは、Oゲージの終了後に続いて運転が行われます。
 手前の親子がいる所に穴があって、ここを入るとグリーンラインが見えるそうです。
(私は入らなかったので解らなかった。)

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 最後に、一番奥にある地下鉄コーナー。
 左手に模型がありますが、まだグリーンライン10000系はありません。
 手前の自動改札機が古いですね。
 奥の右手はシミュレーターです。

 正直な所、一公営交通の保存館など、何度も行ってもしょうがないだろ?と勝手に考えていましたが、とんでもない!
 もちろん、丸々全部変わる訳でもないですが、それでも新しいものが色々入っていて、とても楽しかったです。
 あと望む事があるとすれば、これは№220で少しだけ書きましたが、横浜市営交通全般の博物館と位置づけて、バスの展示もやってほしいという事。
 さすがに実物の展示は厳しいと思いますが、関連の写真とか、シミュレーターのようなお遊びとかはあっていいのではと思いました。
 実物のバスは窓越しにいくらでも見られるのですが。

 そして、横浜はこれだけやってくれていますが、一方で昨年の№49で書いた札幌のように、単なる保管に過ぎないという、残念なケースもあります。
 有料でいいのだから(高すぎても困るが)、ぜひ公園感覚で「ママ鉄」等が気軽に来れる様な博物館が、日本各地で見られる事を、改めて望みたいと思います。
 公営では、やはり東京・大阪に期待したい所です。

 なお、市電保存館の公式ホームページにもっと詳しい展示内容の解説があります。
 詳細はこちらをご覧下さい。

<市電保存館へのアクセス>
 JR根岸線・根岸駅から市営バス21(桜木町駅始発)・78(磯子駅行)・133(上大岡駅行)の各系統で「市電保存館」下車。
(21系統は終点)
 なお、135系統(脳血管医療センター循環)も行く事は行くが、相当大回りになるので注意。
 また、市営バス9・68・102・113・156・158系統、京急バス110系統で「滝頭」下車でも良い。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。(名前は公表しません。)