№255 私鉄の車両シリーズ57 京浜急行電鉄2000形

「私鉄の車両シリーズ」、今回は先代の快特車で、今現在再び注目を集める京浜急行電鉄2000形について取り上げてみたいと思います。

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 2000形は1982年、それまでの(旧)600形(ボックスシート)の代替用として製作された快特車です。
 関東では数少ない料金不要の本格的クロスシート車として人気を博し、翌1983年の鉄道友の会ブルーリボン賞を獲得しました。

 デビュー時の背景として三浦半島を縦断する横浜横須賀道路の開通があり、マイカーへの対抗上、快特車のデラックス化を図る必要がありました。
 このため、車両の内外とも、それまでの京急の車両のイメージを大きく変えるものになっています。
 前面は「く」の字型に傾斜させて大型のガラスで上半分を覆い、ヘッドライトがテールライトと一体で窓下に配置されるなど、斬新なイメージを与えています。
 界磁チョッパ制御・電気指令式ブレーキなど、システム的には通勤車800形を受け継いでいますが、最高速度は120㎞/hに設定されています。
 1C12M方式で、4連に関しては両端を電動車とする京急の方式に従い、T車は中間に配置、高圧引通しを設けています。
 ドアは京急では初めて両開き式となりました。
 冷房は全車両集中式を採用し、窓は一部を除いて固定になっています。
 車体色は窓周りが白のデザインになり、そのままクロスシート車の標準色となりました。
 なお、2000形デビューにより、800形は標準の赤地+窓下に白帯となりました。

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 最大の特徴は車内にあります。
 座席は通路側と窓側でカラーを変えたバケット式となり、車体中央部は集団見合い式で並んでいます。
 この座席配置は同時期にデビューした、東北・上越新幹線200系の3人掛けで採用された集団離反式と対照的で、優劣について論争も起こりました。
 車端部もクロスシートとなった他、ドア部脇には電気ロック式の補助席も備えられています。
 天井部にはラインデリアを装備しました。

 川崎重工と東急車輛の両社によって、8連と4連の2種類で合計72両が製作されています。
 ラッシュ時には両者を連結して12連、日中以降は8連単独、または4連を2本連結して快特を中心に運用されました。
 1992年より夕刻の帰宅時に設定された定員制の「京急ウィング」号にも使用されています。

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 1998年に後継車両2100形がデビューした事で一般通勤型に転用される事になり、大掛かりな改造が行われました。

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 車体中央部にドアを増設して3ドア化、車内は中間部をロングシートとしました。
 座席は片持ち式となり、大型の仕切り板が設けられています。
 座席の形状は異なるものの、このあたりは同時期のJR東日本の通勤車(209系・E217系など)に通じるものがあります。
 車端部はクロスシートと補助席が残され、このレイアウトは新1000形にも受け継がれています。
 車体色は窓下に白帯を配したロングシート車のデザインになっています。
 4連は単独で普通列車、または12連運転の増結用として運用されています。
 一方8連は浅草線直通には運用できないため、ラッシュ時の快特・特急の運用が中心で日中は車庫で休んでいる事が大半でした。
(急遽2100形の代走で「A快特」に入る事もあったが、この場合泉岳寺には入れず、品川で折返しになった。)
 しかし、今年の5月より運行を開始した新逗子~羽田空港の「エアポート急行」に2000形が中心で運用されるようになり、再び日中にも活躍が見られるようになっています。

 ところで、2000形について一つ、ずっと疑問に思っている事があります。

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 これは正面の行先・種別表示ですが、京急では唯一、左…行先・右…種別になっています。
 この配置は結局2000形だけで、1500形以降は受け継がれませんでした。
 なぜ、こういう配置にしたのでしょうね?
 また、番号の付与方式も他の系列とは異なる部分があり(1の位で編成内の位置を表す)、意外に異色な部分も見られる系列です。

【編成】
←三崎口・浦賀・新逗子・羽田空港     品川
 M1c 2000 - *M2 2000* - M3 2000 - Tu 2000 - Ts 2000 - M1 2000 - *M2 2000* - M3c 2000
 M1c 2000 - *M2 2000* - T 2000 - M3c 2000
* パンタグラフ

 今回の記事は
「私鉄の車両18 京浜急行電鉄」(保育社) ※現在はネコ・パブリッシングによって復刻
「鉄道ピクトリアル1998年7月臨時増刊号 【特集】京浜急行電鉄」(鉄道図書刊行会)等
を参考にさせて頂きました。

 次回のこのシリーズは相鉄10000系について書きます。
 但し明日は、昨日発売されたJTB時刻表について書く予定です。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。(名前は公表しません。)

№254 私鉄の車両シリーズ56 東京急行電鉄3000系

 昨日は少々つまらない事を書きました。
 要は選挙をやっていない時位、静かにして欲しいという事を言いたかった訳で。
 今日は久し振りに「私鉄の車両シリーズ」をやります。
 東急の目黒線用車両、3000系です。

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 東急において3000系とは、以前は釣掛式の旧型車各形式を総称した呼称でもありました。
 ここでは2000年に運転系統を変更し、営団(当時)南北線及び東京都営三田線との直通運転を開始した目黒線用としてデビューしたステンレスカーを取り上げます。
すべてにやさしく美しい車両」をコンセプトに掲げ、内外共に、それまでの東急の車両から大きく脱却したスタイルとなりました。

 車体は当然ながらステンレスですが、ついにコルゲート・ビードがなくなり、スッキリした側面になりました。
 正面は8000系以来の切妻スタイルから一転、FRPの一体整形による曲線的なデザインになりました。
 非常用扉はプラグドア。
 運転台は相互直通用、及びワンマン運転用の機器を装備したT字形ワンハンドル式で、上部にはホーム監視用のITVモニターが設けられています。
 パンタグラフはシングルアーム式、冷房は集中式で、共に東急では初採用になりました。
 制御装置はIGBT素子を用いた1C2M×4群のVVVF制御になっています。

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 車内も「お客様に優しい車両」をテーマに、アコモデーションが全面的に改められました。
 座席は床下の空間を確保した片持ち式のバケットシートとし、1人あたりの幅を拡大。
 4-3の区別をかねたスタンションポールを新設し、大型の袖仕切り板を設けました。
 この他、高さを低くした吊手を新設し、荷棚も低くして荷物の出し入れを容易にしています。
 編成中に2ヶ所設けられた車椅子スペースには、乗務員との双方向通話が可能な非常通報器とヒーターが設けられ、貫通扉も車椅子が通過できるように拡幅されています。
 ドア上部には千鳥状に車内案内表示装置が設けられました。

 まず、目黒線の相互直通運転開始に先立つ1999年に、1次車8連1本(4M4T)が先行して製作され、暫定的に東横線で運用されました。
(一番上の画像がその当時のもので、祐天寺を通過する所。)
 その後目黒線の運転形態変更にあわせて2次車が増備され、1次車の8連も中間車4両の落成時に編成替えを行い、6連×2本となって本来の目黒線用に転用されました。

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 6連では1C4M制御の1M車が製造され、3M3Tの構成になっています。
 最終的に13編成78両が2001年までに出揃いました。
 後継の5080系と共に、目黒線~南北・三田・埼玉高速の各路線の相互直通運転で活躍しています。

【編成】
←目黒     日吉
 Tc2 3000 - M2 3250 - *M1 3200* - T 3500 - *M 3400* - Tc1 3100
* パンタグラフ

 今回の記事は
「鉄道ピクトリアル1999年10月臨時増刊号 新車年鑑」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル2004年7月臨時増刊号 【特集】東京急行電鉄」(鉄道図書刊行会)
を参考にさせて頂きました。

 次回のこのシリーズは、京急の先代快特車で、最近になって「エアポート急行」での運用で再度話題を集めている2000形について書きます。

 JTB時刻表2010年7月号が発売になりました。
 詳しくは後日書きたいと思います。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
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№253 参議院選挙間近

 今日は、少しばかし政治的なグチを書きます。
「そんなの興味ないよ。」という方は、どうぞ今日は読み飛ばして、明日の記事をご期待下さい。
 明日は「私鉄の車両シリーズ」で東急3000系を書く予定です。
(なお、特定の勢力を揚げ玉にするつもりは毛頭ありません。右も左も関係なく読んでもらえるように、というのが当ブログのモットーですから。)




 スッタモンダの末総理大臣が代わり、国会が幕を閉じた。
 24日…というからもう来週の木曜日だ…公示・7月11日投票の日程で、参議院選挙が行われる事になる。
 昨年政権が交替し、あれが変わったこれが変わったと世間は大はしゃぎしているが、公共交通に関して言えば…特に地べたの鉄道・バス…については、ほとんど良い方向には向かわなかったといってよい。
 特に高速道路の料金体系を巡る議論は、バス事業者を初めとして、交通業界を混乱に陥れた。
 JRでさえ(特に四国)大打撃を受け、フェリー業界も廃業、そうでなくても航路休止・減便に追い込まれる所が少なくなかった。
 今現在の左右両派の政策を見比べても、「マイカー族に媚売ってんなあ…。」という印象はぬぐえない。
(もちろん反対する勢力もいるが、それも交通全体を考えているというより、支援する労働組合の顔色を伺っているだけ、という気がする。)
 今の所、各交通事業者やメーカー、そして一部利用者の個々の努力…それが充分かどうかは別として…に拠って、どうにか持ちこたえている状況だ。
 少なくとも、政治・特に国政が公共交通に優しくなってくれるようには見えない。
 政治の世界が右へ行こうと左へ行こうと、この状況は続くだろう。
 私たちとしては、ともかく公共交通を積極的に利用する以外、維持・向上を図る術はないのだろう。

 全然違う話。
 右も左も、公示の遥か前から市中でガンガン騒ぎまわるのはなぜ?
 駅前の演説もそう。
 通勤通学であわただしい最中に、ワイヤレスのスピーカーまで置いてガンガン主張を飛ばす連中。
 特に、バス待ちで行列から逃げられないのをいい事に「私たちはあなた方のために頑張ってます!」とか叫ぶ連中。
 チラシを撒き散らすのも、あんなのは資源の無駄遣い。
 あちこち張り巡らされた政党のビラも見苦しい。
 住宅地もそう。
 まだいつ選挙になるかわからない内から、街頭宣伝車(あれもガソリンの無駄遣い)でノロノロ走り回って、大音量で主義主張を撒き散らす奴ら。
 あんなのは騒音と排気ガスを撒き散らすだけだというのが解らないのか?
 聞きたくもない騒音で苦しめられる住民の事はどうでも良いのか。
 毎日仕事で疲れて、「静かな日常・休日が欲しい。」と思うのは間違っているのか?
 そんな人たちに「あなた方のために…。」なんて偉そうに言われても、少なくとも私は信用しない。
 選挙戦の期間以外は、街宣車で騒音を撒き散らす行為は法律で禁止してもらいたいって思っています。
 こんな事のために「思想の自由」とか軽々しく言われてはいい迷惑だから。

 こんな事を考えるのは、私だけなのかなあ。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
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