№193 私鉄の車両シリーズ36 東京都交通局7000形

 今日の関東地方はムチャクチャな天気でしたね。
 箱根はおろか練馬でも積雪があったそうだし、羽田空港ではみぞれのため旅客機の出発にも影響が出たようです。
 なんだか今週一週間の気温は、ジェットコースターのようでした。

 さて、今日の私鉄の車両シリーズは、都電荒川線で今でも主役を張る、7000形について書きます。
 車体更新車なのですが、そのデザインは後の日本の路面電車にも影響を与えました。

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 都電荒川線は1911年8月に開業した王子電気軌道を祖としています。
 1930年までに荒川線区間が全通した後、1942年に東京都電気局(現東京都交通局)に買収されました。
 1970年代になり他の都電の路線が全線廃止になる中、荒川線は専用軌道が大半を占めていた事もあって存続が決定。
 しかし、近代化・ワンマン化を進める必要があり、7000形については1977年より車体を新造して交換する事になりました。
 1978年鉄道友の会のローレル賞を受賞。
 路面電車では初です。

 7000形は1954年から3次に渡って製造され、改造車も含めて93両が製作されました。
 それまでの都電から大きく形態が変わり、前中2ドア、正面2枚窓、側面の大型窓で軽快なイメージがあります。
 2次車から間接制御となり、3次車では当初はZパンタグラフを採用(後にビューゲルに交換)するという違いがあります。
 2次車のうち10両は路線の縮小に伴い、函館市に売却されて1000形となっています。
(残念ながら今年3月一杯で引退。)
 車体の更新は3次車のうち、荒川線に残留していた31両に対して施されました。

 アルナ工機で製作された新車体は、旧車体からは一転、角ばったスタイルと正面の大型1枚窓で、近代的な軽快電車風のスタイルとなりました。
 また、ホームを嵩上げした事でステップを廃止、床は全面フラットとしています。
 車体色は、黄色ベースは変わらないものの、帯の色が赤からワンマン車を示す青に変わっています。

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 車内は優先席を前向きとし、戸袋部分を立席スペースとしました。
 ワンマン化により車掌の立ちスペースは廃止。
 ただし、車掌の合図だった鈴の音は自動で残されており、ドア閉じ完了を運転士に知らせる合図として機能しています。
 車体更新に合わせ、番号は全て改番されました。

 1985年より順次冷房化工事が進められ、同時にカラーリングも緑系の現行のものに改められました。
 冷房化されなかった6両は廃車となり、内2両は豊橋鉄道に売却されています。
 パンタグラフはビューゲルから、通常の菱形パンタグラフに交換されました。

 2000年度より車体の修繕が始まり、車体の補修や室内の化粧版の張替え、2001年度からは加えて行先表示のLED化も進められています。
 2両は更新の対象から外れて廃車となり、豊橋鉄道に売却されています。

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 7022号車は2005年より、更新時の黄色+青帯の旧塗装を復刻。
 同車を含めた5両はパンタグラフがシングルアーム化されています。
 現在は22両が引き続き荒川線で運用中です。
 しかし、更新から23年経って既に現車体の時期の方が長くなっており、8800形デビューによって、今後の去就が注目される所です。

 今回の記事は
「わが街 わが都電」(東京都交通局)
「日本の路面電車Ⅰ 現役車両編」(原口隆行・JTBキャンブックス)
「ローカル私鉄車両20年 路面電車・中私鉄編」(寺田裕一・JTBキャンブックス)
「鉄道ピクトリアル2000年7月臨時創刊号 【特集】路面電車~LRT」 等
を参考にさせて頂きました。


 明日からしばらくは、少し前になりますが、4月3日(土)の秩父鉄道と、5日~8日の東北旅行について書きます。
 したがって、私鉄の車両シリーズの次回は再来週になります。
 次回は、その秩父鉄道の3000系(JR165系)を書く予定です。

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 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。(名前は公表しません。)



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№192 JA8941 スペシャル・マーキング集

 今日は旅客機の事を書きます。
 旅客機といえば、アイスランドの火山の噴火による火山灰の影響で、ヨーロッパ各国の空の便は昨日から大混乱に陥っています。
 昨日ロンドンやアムステルダムに向かって成田を出発したJALやANAの便は、その日の深夜に成田に引き返したようですし、さっきパリ(シャルル・ド・ゴール)空港の様子を撮影したTVニュースを見たら、ANAのB747-400が足止めを食らっていました。
 今日も、少なくともJAL・ANAのヨーロッパ路線は全便欠航になったそうだし、ロンドン(ヒースロー)空港は明日の午前中(日本時間)位までは閉鎖が続くそうです。
 関東地方は今日・明日と真冬並みの寒さながら、明後日は晴れの予報が出ています。
 なので、成田空港にでも行こうかなあ、と思っているのですが、ヨーロッパ便の欠航が続くようだとつまらないかも…。

 さて、今日はJALの国内線用B777-300、JA8941号機について書きます。
 JA8941号機は1998年8月より、鶴丸カラーで就航しました。
 この頃はスペシャルなマーキングはなかったのですが、JAS統合後の新カラーになってから、急に年毎に各種マーキングが施されるようになります。
 一応、撮影したすべてのスペシャルマーキングをご覧頂こうと思います。
 JA8941号機のスペシャルマーキングについては、№4№179でも取り上げていますから、重複する部分が多々ありますが、あらかじめご了承ください。

1.旧塗装(鶴丸)

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 旧塗装で、伝統の鶴丸カラー。
 B777-300は、B777-200の胴体延長型で、JALにとってはこれが1号機でした。
 旧塗装時代には、国内線用のB777には、「スタージェット」の愛称の元、一機毎に1等星の名前が与えられていました。
 写真のJA8941は、「レグルス」(獅子座)。
 ちなみに、他の機材では、
 B777-200 : JA8981…「シリウス」 ・ JA8982…「ベガ」 ・ JA8983…「アルタイル」 ・ JA8984…「ベテルギウス」 ・ JA8985…「プロキオン」
 B777-300 : JA8942…「スピカ」 ・ JA8943…「アークトゥルス」 ・ JA8944…「アンタレス」 ・ JA8945…「デネブ」
(なお、JA751J・JA752JはJAL・JAS統合決定後、現在のカラーをまとって旧JASに導入されたため名無し。)

 JASとの統合後、垂直尾翼から鶴丸が消え、太陽をイメージした赤をあしらった、現在のカラーになりました。
 この後、5種類のスペシャルマーキングを纏うことになります。

2.シドニー・オリンピック

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(2004年6月5日撮影)
 2004年のシドニー・オリンピック開催時のスペシャル・マーキング。
 後部に「がんばれ!ニッポン!」とおなじみのロゴが書き込まれています。
 なお、前回2008年の時には、過去の五輪のメダリストの顔写真が並んだデザインがありますが、この時はJA8945に施されました。

3.JAL悟空

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(2006年2月6日撮影)
 「JAL悟空」というのは、JALが発売する国際線の正規割引運賃の名称で、当時フジテレビで放映されていた「西遊記」とのタイアップでこのデザインが実現しました。
 孫悟空役の香取慎吾が大きくデザインされています。
 ポートサイド側とスターボード側では、表情が異なります。
(個人的には「西遊記」といったら、堺正章・夏目雅子主演でゴダイゴが主題歌を大ヒットさせた、約30年前の日本テレビでのシリーズを連想するのですが。)

4.ワン・ワールド プロモート
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 JALは2007年4月にワン・ワールドに加盟しましたが、当時は知名度が低かったため、国際線用のB777-200ER(JA704J)と共に、プロモート用のマーキングが施されました。
 この時は他のエアラインはかかわらず、JALオリジナルの取り組みになりました。
 なお、現在は「one world」統一デザインの機体が数機飛んでいますが、国内線用B777-300ではJA752Jに施されています。

5.KOBUKURO JET

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(2009年8月20日撮影)
 2009年8月にスタートしたKOBUKUROの全国ツアーのサポートエアラインとなった事で、この機体と、JTAのB737-400(JA8587)の2機に、2人のシルエットがあしらわれました。
 ただ、ご存知の通り、この時期はJALの経営悪化の問題が一気に表面化、会社自体がどこへ行くのか、どうすべきかという議論が連日マスコミを騒がせており、そのため今一つ影が薄くなってしまった事は、残念でした。

6.ドラえもんジェット

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(2010年3月30日撮影)

 一転してファミリー向けのマーキングになりました。
 これは№179でも書きましたが、「ドラえもん」映画30周年記念のマーキングで、JALが協賛スポンサーであった事で実現しました。
 こちらは国民的人気の「ドラえもん」という事もあるし、それ以上に会社更生手続きが始まった直後のマーキングという事で、逆に大きく注目を集めたような気がします。

 「ドラえもんジェット」もまもなく就航が終了するものと思われますが、この後、どんなスペシャルマーキングが見られる事になるのでしょうか。
 今は再建の途上でそのような余裕はないかも知れませんが、是非皆が笑顔で見る事ができるマーキングが、いつか再び見られる事を願います。
 個人的には、「スタージェット」時代のような、1機毎に個性あるネーミングが復活したらいいなあと思っているのですが。
 JALの伝統でもありますし。
 B777-300自体は、後がなくなったB747-400Dに代わって国内線の主役になった感があり、4月からはセントレアでも沖縄線で見られるようになりました。
 今後とも、幹線を中心にした活躍が期待されます。

 それにしてもなぜ、JA8941だけなんでしょうね?
 JALの国内線用B777-300は全部で7機ありますが、後はJA8945が「SAMURAI BLUE」「がんばれ!ニッポン!」(北京)、JA752Jが「チーム・マイナス6%」そして現「one world」タイトルで飛んでいますが、JA8942・8943・8944・751Jに関しては、一度もスペシャルマーキングにはなっていないはずです。
 整備上のタイミングという事があるようですが…。

 今回の記事については、
「新・旅客機形式シリーズ01 Boeing 777」(イカロス出版)
を参考にさせて頂きました。


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№191 私鉄の車両シリーズ35 千葉ニュータウン鉄道(北総鉄道)9000形

 三日連続して私鉄の車両シリーズになりますが、今日は千葉ニュータウン鉄道に所属し、北総鉄道線で運用される9000形です。

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 千葉ニュータウンと都心を結ぶ鉄道は、北総開発鉄道(北総鉄道)が1979年3月に北初富~小室を開業させた後、1984年3月に当時の住宅・都市整備公団が小室~千葉ニュータウン中央を開業させました。
 運営は北総開発鉄道に委託されましたが、このとき公団自身が製作・保有する事になったのが9000形です。デビュー当初は2000形と呼称していました。

 2000形は、基本的には北総7000形と同じ仕様のステンレスカーですが、正面は特徴的な「ゲンコツ」形だった7000形と比較しておとなしいスタイルになりました。
 側窓は大小3つを並べたユニットタイプで、大窓は最初から開閉が可能になっています。
 制御方式も7000形と同じく回生ブレーキ併用の界磁チョッパで、台車も同様の空気バネになっています。
 ただし、補助電源装置はMGからSIVに変わりました。

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 車内は、座席はオレンジとエンジに分けられた2-4-2の分割タイプのロングシート。
 吊革とカーテンは最初から設けられています。
 冷房装置は集中式となりました。

 デビュー当初は両端をTcとする4M2Tの6連で、北総線の都心側が未開通だったため、北総車と共に新京成線の松戸まで相互乗り入れを行っていました。
 京成高砂~新鎌ヶ谷は1991年に開業、都営浅草線から京急線への直通運転が始まる事になりました。
 これを前に中間車2両を組み込み、8連化が実施されました。
 また、京急線内では先頭車は電動車両でなければならないため、Tc車とM2車で台車を交換、両端をMc車とする、6M2Tの8両編成に改めて直通運転に備えています。
 なお、直通運転開始後の1994年に形式を9000形と改めました。
 京急に快特用の2000形が存在し、形式名が重複するためです。
 新京成線松戸への直通は同年に終了しました。

 住宅・都市整備公団は1999年に組織改変で都市基盤整備公団に改められましたが、2004年には都市再生機構への改変に伴い、車両・施設は京成電鉄が設立した千葉ニュータウン鉄道に譲渡されました。
 ただし、車両には「北総鉄道」のプレートが掲げられています。
 引き続き都心・羽田空港直通列車を中心に運用中です。
 ただし、北総7000形と同じ下回りで最高速度が105㎞/hに制限されており、現状では特に京急線内では他列車の足を引っ張っている面が否めません。
 今の所置き換えの計画はないようですが、老朽化も進んでいますし、北総側でも「成田スカイアクセス」開業が迫っています。
 数年のうちには置き換えの計画が浮上するのではないでしょうか。

【編成】
←京成高砂     印旛日本医大
 M2c 9000 - *M1 9000* - T 9000 - M2' 9000 - M1' 9000* - T 9000 - *M1 9000* - M2c 9000
* パンタグラフ

 今回の記事は
「私鉄の車両12 京成電鉄」(保育社) ※現在はネコ・パブリッシングによって復刻 等
を参考にさせて頂きました。

 次回のこのシリーズは都電荒川線の7000形です。
 ただし、明日は違う事を書く予定です。

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