№161 スカイマーク 厳重注意

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 スカイマーク(SKY)で先月、機長が、体調不良のアテンダントを乗務からはずそうとした所、会長と社長が交代をさせないように指示、そのまま飛行させていた事が明らかになり、国土交通省から厳重注意の処分を受けました。
 NHKのデータ文字放送に拠りますが、機長は風邪のためにアテンダントの声の調子が悪く、緊急事態が発生した際に乗客の誘導に問題があると判断して、別のアテンダントに交代させようとしました。
 ところが、そのアテンダントが事務室に戻ると、それを知った会長と社長が交代を認めずそのまま出発させるよう指示、機長が拒否すると別の機長に交代させて、1時間遅れで運航させていたという事です。
 ヒドイと思うのは、そのアテンダントの交代を要求した機長が、この件で先月、雇用契約を解除されたという事。
 つまり「クビ」になってしまったのです。

 SKYに限らず、少なくとも日本の全ての航空会社では、安全運航に関する最終的な決定権は機長にあります。
 他がOKと言っても、機長が「安全に不安があるからダメだ。」と言ったら、そのフライトは飛べないのです。
 それを、経営者が直接運航に介入、機長に圧力をかけ、拒否したらその機長を排除して運航させたのです。
 二人の神経を疑わざるを得ません。
 SKYは「当時の判断は間違っていなかった。」と言っているそうですが、どこが「間違っていなかった。」のでしょうか?
 調子の悪いアテンダントの交代を要求する事の何が悪いのか?
 機長より、体調不良のアテンダント(このこと自体はここでは置きます。)の方を優先させるとは、何か(我々には理解しがたい)理由があるのでしょうか?
 SKYでは、一昨年にはパイロット不足に陥り、書き入れ時のはずの夏休みシーズンに大量の欠航を発生させて、ここでも勧告を受けています。
 「日本唯一のLCC」として、期待の声も大きいSKYなのですが、どうも重大な組織的構造の欠陥が置き去りのまま残されているように思えます。

 あと、こんな事が起きてしまうのは、SKYに労働組合がないからかも知れない。
 1月19日にJALが会社更生手続きに踏み切った際、公的資金を導入する事で、当然あちらこちらから批判の声が噴出しました。
 批判の矢は労働組合にも向けられ、組合が9つある事も世論から白眼視されたり、嘲笑の的にもなったりしました。
 私自身、(JALに限った事ではなく、何の業界でもそうですが)社会に根を下ろさず、独善的な正義を振りかざして政治的闘争に向かいがちな日本の労働運動には懐疑的です。
 JALに関しては、この事態を機に何とか、本当に健全な労使関係を再構築すべきだと考えています。
(労働組合が複数ある事自体は、私は悪いとは思わない。)
 ただし、逆に乗務員の労働組合がないがゆえ、航空便の運航に経営者が直接口出しして、挙句に雇用が奪われてしまうというのもこれまた大問題。
 これを機に、SKYの労働者の側も考えるのではないでしょうか。
 というか、考えなければいけなのでしょう。
 本当に「安全運航」が大事と思うなら…。

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