ニューヨークのJFK空港で、驚くべき不祥事が起きていた事が発覚しました。
先月の16日、ベテラン管制官が息子を管制室に連れ込み、旅客機との交信をさせていたというのです。
日本のメディアはあまり伝えていないようですが、アメリカの報道などによると、これは交信記録を公表するWebサイト上で音声が公開された事で明らかになったという事で、2分の間に、3機(メキシコ機を含む。)に対する出発管制を息子にさせていたようです。
この管制官は翌日にも別の娘を連れて来ていたらしく、FAA(アメリカ連邦航空局)は、この管制官と上司を停職処分にして、さらに詳細を追求しているとの事です。
アメリカのニュースを衛星放送で見ただけですが、管制には全くの素人の私から見ても、疑問点がいくつも浮かんできます。
① 報道にもあったようだけれど、父親とはいえ、なぜ部外者の息子をやすやす管制室に入れられたのか?
② JFK空港ともなれば、同僚の管制官も大勢いるはずだが、誰も何も言わなかったのか?
③ 管制室だけでなく、交信したパイロットも、おかしな事だとは感じなかったのか?
それどころか、全く緊張感なく「大した仕事ぶりだ。」と褒めてもいたという。
今年最初の更新の№106でも書きましたが、「9.11」テロ以降、世界的に旅客に対する保安体制は強化される一方で、それなのに昨年のクリスマスには、アトランタで旅客機爆破未遂事件まで起きています。
さらに旅客に対するチェックが厳しくなり、欧米の主要な空港では「全身スキャナー」の設置が議論になったりしています。
ところがアメリカでは昨年、航空保安に関する機密情報が外部に流出する事件も起きています。
そして今度の不祥事。
旅客には窮屈なフライトを強いておきながら、安全を管理する側が失態を繰り返すとは、過去に大きな痛い目にあっているはずなのに、アメリカの航空当局は、どうにも緊張感がなさ過ぎるのではないかと思います。
今アメリカではトヨタに対する批判がかびすましいですが、あまり人の事は言えないのでは…。
参考までに…ならんかもしれないけれど…アメリカABCテレビのWebサイトで報じられた、このニュースのテキストを、本当に簡単ですが一部和訳してみたので記してみます。
(何分拙い英語力なので間違っている所もあると思います。また、他の報道を参考にして意訳した部分もあります。悪しからず。)
JFK空港は全米で最も混雑する空港の一つで、一日に1000便の離着陸を扱う。
ところが、2月16日の夜8時頃、管制塔のテープに子供の声が捉えられた。
「ジェットブルー171便、離陸を許可します。」少年が指示するのを、LiveATC.netが記録していた。
午後7時56分、JFK空港を出発し、サクラメントへ向かうA320に対して少年が話した。
パイロットは「ジェットブルー171便離陸します。」と答えた。
FAAによれば、管制官の父親は息子を連れてきて、彼にも仕事をさせた。
「子供は学校が休みなんだ。」父親はパイロットに言った。
「私も子供を連れて来られたらいいのに。」パイロットは答えた。
録音に依れば、パイロットは楽しんでいるようだった。
「ジェットブルー171便、出発管制と交信してください。」8~9歳と見られる少年が指示した。
「出発管制と交信する。すばらしい仕事振りだ。」パイロットは答えた。
少年は出発管制を繰り返した。
「403便、離陸を許可します。」少年は指示した。
Flightstats.comによれば、このアエロメヒコ機は、午後7時56分に出発したメキシコシティ行だ。
「403便離陸します。ありがとう、良い日を。」パイロットは答えた。
「アエロメヒコ403便、出発管制と交信してください。」少年は指示した。
「さようなら。」少年は別の機体と話し始めた。
「さようなら。」パイロットは返事した。「ジェットブルー195便は出発する。」
ジェットブルー195便はラスベガスに向けて午後7時58分に出発した。
FAAは管制官の名前を公表していないが、冗談とは受け止めていない。
管制官は上司とともに職務から外された。
「このような振る舞いは受け入れられず、FAAの職員と思えない意識は説明できない。」FAAは声明で述べた。
管制官組合は声明で、「いずれにしてもこのような振る舞いは許せない。」「管制官の常識的なプロ意識を象徴していない。」と述べた。
元パイロットのジョン・ナンス氏は、この出来事は、「パイロットが膝に自分の子供を乗せて着陸するに等しい。」と述べた。
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