№137 私鉄の車両シリーズ7 京浜急行電鉄2100形

 路線バスのサイトの姉妹版のブログのはずなのに、鉄道ものばかりやっていますが、今日も鉄道です。
 今日は京急の快特車、2100形です。

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 京浜急行電鉄と言うと、関東では珍しい本格的なクロスシート車が高速運転を行なう事でカリスマ的な人気を誇る私鉄ですが、創立100周年を迎えた1998年にデビューした2100形は、その先頭に立って120㎞運転を行なう快特用車両です。
 外国製品を多用しているのが特徴です。

 車体は1994年デビューの(新)600形をベースにしたアルミ製ですが、2箇所の両開きドアは幅を1,200㎜、窓は固定としています。
 18m級車両ですが、先頭車両のみ全長を多少延長しています。
 VVVF制御装置はモーターなどと共にドイツ・シーメンス製を採用。
 断流器やフィルタリアクトルと共に「トラクションコンテナ」と称する箱に収め、小型化を図っています。
 加速・減速時の独特の音色が特徴でした。
 電動機を高出力化し、MTTMを1ユニットとした4M4Tとして、MT比を半々としました。
 T車2両にシングルアームパンタを2器ずつ搭載しています。

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 車内の座席はノルウェー製を採用。
 転換と同時にヘッドレストも形を変え、頭部の安定性を向上させています。
 なお、座席の向きは終着駅で乗務員が一斉に転換させ、乗客が個別に転換させる事はできません。
 運転席直後の座席も前向きシートとして、前面展望に応えています。
 連結面側はボックスシートとなり、一部は将来の空港特急への運用を考慮し、座面を持ち上げて大型荷物スペースとしても使用できるようになっています。
 ドア上部には京急では初めて3色LEDによる案内表示器が設置されました。

 2000年度までの4次にわたって10編成80両が製作されました。
 4次車では前照灯と標識灯の位置を左右入れ替える変更が行われ、後に全編成に及んでいます。
 また、初期には上に掲げた写真のように、ワイパーカバーに大きく車号を打ち抜いていましたが、後にこれを全車「2100」に統一の上、非常扉に車号(下二桁)を表示する方式に改められています。
 なお、4連は製作されませんでした。
 600形・新1000形・1500形・2000形の3ドア車を増結車としています。

 2157Fは2005年に「Keikyu Blue Sky Train」として、青一色に塗り替えられています。
 車内は通常広告が全車貸切で、他にイベントタイアップで使われる事もあります。

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 また、2109Fでは、2004年~2009年にかけて、無線LANを用いて沿線情報やNHKの番組を放映する「トレビジョン」が試用されていました。
 天井部2ヶ所にモニターを設けて放映するもので、音声は手持ちのFMラジオで受信する事になっていました。

 現在に至るまで、通称「A快特」(泉岳寺~三崎口)の主力として活躍している他、夕刻の帰宅時に運行される座席定員制の「京急ウィング号」にも運用されています。

 なお、最近になって制御装置の国産品への交換が進められているようです。

 ところで多少意外なのですが、2100形は鉄道友の会のブルーリボン賞・ローレル賞、どちらも受賞していません。
 2100形は1999年にノミネートされましたが、この年のブルーリボン賞は、JR東海・西日本共同開発の寝台電車・285系「サンライズ」。
 ローレル賞は広島のスカイレールサービスでした。
 「サンライズ」は確かに強敵でしたが、少なくともローレル賞は受賞しても良さそうなものですが…。
 先代快特車の2000形が1983年のブルーリボン賞を受賞しているので、ひょっとしたらバランスを考えたのかも知れません。

【編成】
←三崎口・羽田空港     泉岳寺
 Muc 2100 - T 2100 - *Tp 2100* - Mu 2100 - Ms 2100 - T 2100 - *Tp 2100* - Ms 2100
* パンタグラフ

 今回の記事は
「鉄道ピクトリアル1998年7月臨時増刊号 【特集】京浜急行電鉄」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル1998年7月臨時増刊号 新車年鑑1998年版」(鉄道図書刊行会)
「日本の鉄道車両史」(久保田 博 グランプリ出版)
「京急の車両」(佐藤良介 JTB(キャンブックス)) 等
を参考にさせて頂きました。

 次回のこのシリーズは過去の車両になりますが、相鉄6000系です。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。(名前は公表しません。)



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№136 私鉄の車両シリーズ6 東京急行電鉄1000系

「私鉄の車両シリーズ」、今日は東急1000系を取り上げます。

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 東急1000系は1988年デビューの通勤車です。
 地下鉄日比谷線直通用の8連と、池上線・東急多摩川線で使用される、通称「1000N’系」の3連があります。
 比較的新しい車両ですが、近年の変化が大きい系列です。

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 9000系と同様の軽量ステンレス車体を持つ18m3ドア車で、基本的な性能・仕様も変わりはありませんが、8連は地下鉄線内の勾配を配慮し、9000系の4M4Tに対して6M2Tで組成されています。

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 元々は日比谷線直通用の7000系置き換え用として増備が進められ、東横線に配置されました。
 その過程で、1990年には目蒲線での運用を考慮し4+4連に分割可能な編成2本が製作され、1000N系として区別。
 中間を貫通させる必要があり、中間部に組み込まれる先頭車4両は、非常用扉が車掌側にオフセットされた他車と異なり、貫通扉が中央部に配置されて通り抜けが可能になっていました。

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 その後、1991年には目蒲線に非乗り入れの1000N’系(当初は3M1T編成)を投入、翌年には新造の先頭車を交えて3連に組成変更の上池上線に転属し、7200系を置き換えました。
 さらに1024Fは唯一最初から3連で新製され、1000系の最終増備車になっています。
 1024Fは、東急合併後の池上線では初の新造車でもあります。
 池上線では1998年よりセンサー方式のワンマン化を実施しています。

 現在も8連は日比谷線直通運用に、3連は池上線に加えて2000年より東急多摩川線で運用されています。
 しかし、目黒線運行開始による日比谷線直通運用の減少に加え、池上線・東急多摩川線では7000系の投入もあり、7700系(元旧7000系)・7600系(7200系)を差し置いて、早くも廃車が発生しています。
 先頭車については、上田電鉄・伊賀鉄道への売却が行われました。
 上田電鉄への譲渡車については№63で取り上げましたのでご覧下さい。

【編成】
←北千住・五反田・多摩川     菊名・蒲田
 Tc 1000 - *M 1200 - *Mc 1310
 Tc2 1000 - M2 1250 - *M1 1200 - M2 1350 - *M1 1300 - M2 1450 - *M1 1400 - Tc1 1100
 Tc2 1000 - *M1 1200 - M2 1350 - *M3c1310 - Tc4 1000 - *M1 1200 - M2 1350 - *M1c 1310
※新製当時の1000N系

* パンタグラフ

 今回の記事は
「鉄道ピクトリアル1991年12月臨時増刊号 【特集】東京急行電鉄」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル2004年7月臨時増刊号 【特集】東京急行電鉄」(鉄道図書刊行会) 等
を参考にさせて頂きました。

 次回のこのシリーズは、京急の快特車、2100形です。

 東急と言うと、今月初めに「バスジャパン・ハンドブックシリーズR69 東急バス」が刊行されています。
 現在、データについて様々な分析をしている所で、近いうちに取り上げます。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。(名前は公表しません。)



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№135 私鉄の車両シリーズ5 小田急電鉄20000形

 先月中旬より、小田急ロマンスカーの7000形「LSE」、10000形「HiSE」が運用を離脱した状態が続いていますが、「HiSE」については来月1日より運行に復帰するという事です。
 今日は、その「HiSE」の兄弟車といえる、20000形「RSE」について取り上げます。

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 小田急20000形は、JR東海・御殿場線直通特急「あさぎり」に使用されるロマンスカーで、

Resort Super Express”「RSE」

の愛称があります。
 1992年鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞。

 JRとの相互直通のため、連接方式を採用してきたこれまでのロマンスカーと異なり、通常のボギー車構造となりました。
 中間に2両の二階建て車輛をはさみ、2階部はスーパーシート(JR線内ではグリーン車扱い)が設けられています。
 その他の車輛は10000形「HiSE」と同様のハイデッカー構造を採用。
 3100形「NSE」以来の伝統の展望室は設けられていませんが、運転室背後の仕切りの窓を大型として、前面の眺望に充分配慮しています。

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 T2・T3車2階部のスーパーシートは2-1の3列で、オーディオシステムと、当初はパーソナル液晶TVが各座席に設けられていました。
 車内中央部にはマガジンラックがあり、雑誌類が置かれています。
 1階部分はT2車ではセミコンパートメント、T3では2-1配置の普通席を配置、他の車輛は2-2配置の普通席になっています。
 普通席もリクライニングが可能になりました。
 サービスカウンターはT2・T3の平屋部に設置、車内販売の基地になっています。

 制御方式は10000形と同様の抑速ブレーキ装備の抵抗制御。
 ATSは小田急・JR東海双方の形式を装備し、松田駅で一斉に切り替えられるようになっています。
 冷房装置は屋根上の他、平屋建て車輛ではハイデッカー構造を生かして、台枠と床の間にも装備されています。
 パンタグラフは「HiSE」と同様下枠交差式を採用。
 現在、他の小田急の車両は全てシングルアームに交換されていますが、「RSE」は「HiSE」と共に現状を維持しています。

 1991年3月に、当時3000系「SE」を使用した連絡急行〈あさぎり〉を置き換えて特急格上げ、沼津延伸を行い、以来JR東海371系と相互乗り入れで運用されています。
 JRと大手私鉄が相互乗り入れで特急を運行するのは、初のケースでした。
 2編成のみのため通常の平日日中は1運用のみ使用、土休日には〈あさぎり〉の他、新宿~箱根湯本間の〈はこね〉にも運用されます。
 また、JR371系検査時には代走して運用します。

 蛇足ですが、特急〈あさぎり〉には観光輸送において西伊豆への連絡も期待されており、運行開始当初は〈あさぎり〉に接続し、土肥・松崎へ向かう東海バスの特急便が設定されていました。
 専用車両を使用していて、これが「RSE」及びJR371系の折衷カラーだった事は話題になりました。
(現在は本数削減・急行への格下げの上、小田急グループ統一カラーに変更。)

 〈あさぎり〉は、小田急にはないローカル線を走る特急であり、特に富士山の眺めが美しい事から、冬場などには真っ白な雪景色の富士山をバックに御殿場線を快走する姿が、小田急の広報誌や公式Webサイトなどを飾ってきました。
 しかし、「HiSE」と同様のハイデッカー構造でバリアフリー対策上不利である上、ここへ来て〈あさぎり〉自体の利用率の低下が指摘されており、今後の去就が気になる所です。

【編成】
←新宿     沼津・箱根湯本
 M1C 20000* - T1 20050* - M2 20000 - T2 20050 - T3 20050 - *M3 20000 - *M4C 20000
* パンタグラフ  下線付きは2階建て

 今回の記事は
「鉄道ピクトリアル1991年7月臨時増刊号 【特集】小田急電鉄」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル1999年12月臨時増刊号 【特集】小田急電鉄」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル2010年1月臨時増刊号 【特集】小田急電鉄」(鉄道図書刊行会)
を参考にさせて頂きました。

 次回のこのシリーズは、東急1000系です。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。(名前は公表しません。)