№74 JTB時刻表大研究 1998年

「JTB時刻表大研究」、今回は1998年です。
 鉄道旅行を趣味とするものにとっては、一大事が起きました。
 都市近郊では引き続き新線の開業が相次ぎますが、その一方、特定地方交通線から転換された鉄道で、初めての廃線が発生しました。
 3月14日にJRグループ全体の改正が行なわれた後、7月に東海・西日本(山陽・山陰)・四国、10月に西日本・四国、12月に東日本・西日本(金沢)・北海道で個別に改正が行なわれました。

《1998年の十大トピックス》
◆ 長野冬季オリンピック開催 観客輸送実施
 長野オリンピックは2月7日~22日の間、長野県の各地で競技が行なわれました。
 白馬で行なわれた、団体ジャンプ・日本チームの金メダル(原田雅彦の大ジャンプ!!)を覚えておられる方も多いでしょう。
 この白馬に向けて大糸線では多数の臨時列車(定期列車の延長も含む)が設定されました。
 特に姫路~白馬の急行〈白馬・栂池〉(糸魚川経由)、姫路~長野の急行<妙高・志賀>の設定が目を惹く所です。

下り
 <白馬・栂池3号>(9503D~9112D)
 姫路19:45 → 6:45白馬
 <妙高・志賀3号>(9513M~9306M)
 姫路20:35 → 6:51長野
上り
 <白馬・栂池4号>(9113D~9504D)
 白馬18:40 → 6:10姫路
 <妙高・志賀2号>(9305M~9512M)
 長野18:44 → 7:16姫路

 他に名古屋→白馬の急行<つがいけ>・長野→名古屋の急行<きそ>や南小谷始発の特急<しなの>、新宿→松本の夜行快速など。
 1・2月号の時刻表では開催日程の一覧の他、大糸線の特別ダイヤや、他周辺各路線の臨時列車の時刻が、付録のページに記載されていました。

◆ 新型寝台電車「サンライズ」デビュー
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(2008年6月17日横浜駅で撮影 ダイヤが乱れていて〈出雲〉の単独運転)
 285系はJR東海とJR西日本が共同開発した寝台電車で、A・B寝台とも全て個室となり、シャワー室やミニサロンの他、特急料金だけで乗れる「ノビノビ座席」の設備があります。
 住宅メーカーの協力により、内装が木目調になっています。
 285系デビューにより、客車の〈出雲2・3号〉と〈瀬戸〉を統合(〈出雲〉は岡山経由に変更)。
 7月10日より、東京~岡山を併結するダイヤに改められています。
 はっきり疲れが見えていたブルートレインに代わる、寝台特急の新しい形が見えたと思ったものですが…。
 8月号の「乗り物風土記シリーズ120」で特集されています。

◆ 徳島線に〈あい〉 津軽海峡線に「ドラえもん海底列車」運転
 〈あい〉は車両そのものは同じ徳島線の特急〈剣山〉と同じ185系ですが、正面にはタヌキ、側面には阿波踊りを描、いたラッピングが施されていました。
 4月5日に運行を開始、当初は多客期のみの設定だったようですが、8月号からは運転日の記述が消え、毎日運転になりました。
 「ドラえもん列車」は快速〈海峡〉の一部に「ドラえもんカー」を連結した列車。
 車体には「ドラえもん」のキャラクターをあしらい、車内はプレイルームを設けていました。
 〈おおぞら〉の「ちゃいるどサロン」と同じ発想だと思って良さそうです。

◆ 京急線羽田空港ターミナルへ延伸 成田空港行エアポート快特設定
 羽田~羽田空港は11月18日開業。
 同時に羽田駅はモノレール共々「天空橋」と改称しました。
 エアポート快特は羽田空港~成田空港を1日4往復(80分間隔)。
 他に、羽田空港~京成高砂のエアポート特急(やはり80分間隔)も設定され、京成高砂で京成上野~成田空港の特急と接続していました。
 どちらも、都営地下鉄浅草線内でも急行運転を行なっているのがポイント。
(三田・新橋・日本橋・東日本橋・浅草に停車。大門は大江戸線全通時より停車)

◆ 多摩都市モノレール開業 大阪・北九州でモノレール延伸
 多摩都市モノレールは立川北~上北台が11月27日開業。

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 北九州のモノレール延伸は2月13日。
(旧)小倉駅(同日平和通に改称)から、新築の駅ビルの真ん中に乗り入れ、乗り継ぎの利便性が大幅に向上しました。
 大阪のモノレールは10月1日に、万博記念公園から分岐する支線(国際文化公園都市線)が開業。
 日本のモノレールで支線が開通するのは初めてです。

◆ 弘南鉄道黒石線廃止 千葉急行電鉄は京成へ経営譲渡
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 黒石線は1984年11月に国鉄から転換された路線ですが、3月一杯を持って廃止になりました。
 転換当初は国鉄から譲渡された写真のキハ22が使用されていましたが、後に隣の小坂鉄道から購入したキハ2200を投入し、廃止まで使用しました。
 特定地方交通線でバスではなく、経営形態を変えて鉄道として存続した路線も数多くありましたが、その中では廃線の第1号となってしまいました。
 また、千葉急行電鉄はニュータウン開発のために建設された鉄道でしたが、経営難のため、10月1日より京成に引き継がれて千原線になりました。
 都市近郊といえど、簡単には良好な経営はできないという事を知らしめた出来事でした。
 歴代の千葉急行電鉄の車両については、こちらをご覧下さい。
 終始京成からのリースでまかなっていました。

◆ 周遊券全廃 「周遊きっぷ」発売開始
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 これは1990年の秋に北海道に行く時に使った、北海道ワイド周遊券です。
 
周遊券には
1.ワイド周遊券 … 広域のJR線・JRバス全線が乗り放題
2.ミニ周遊券 … 小規模のエリアのJR線・区間を指定したJRバスが乗り放題
3.ルート周遊券 … 予め選定された観光モデルコースに沿って周遊旅行するセット型
4.普通周遊券 … JR線を200㎞を超えて利用した上で、周遊指定地を2ヶ所以上訪問すると割引になるオーダーメイド型。夫婦向けには「グリーン周遊券」。
があり、ワイド・ミニ周遊券は急行自由席、ワイドでは加えて自由周遊区間で特急の自由席も乗り放題でした。
(なおルート周遊券は先行して、1991年3月一杯で全コース発売を終了しています)

 周遊券は使用する側、発売・運用する側の双方で色々問題が発生したようで、この年の3月一杯で全て発売を終了。
 翌4月1日より、自由周遊区間(エリア)を定めた「ゾーン券」と、その「ゾーン券」で定められた入口・出口駅への「ゆき券」「かえり券」をセットで発売する「周遊きっぷ」が発売を開始しました。
 「周遊きっぷ」もまた様々な問題があるようで、「ゾーン券」の改廃も頻繁に行なわれていますが、ともかく現在も34のゾーン券が発売されています。
 もっとも、これ以外にJR各社が独自に様々なフリーきっぷ等の企画券を発売していますし、何より旅の足が航空機・私鉄特急・高速バスなど多様化しています。
 結局、周遊券の廃止というのは、(今更ながら)JRがもはや絶対的な旅の主役ではなくなった、という事を意味しているのでしょう。
 一般周遊券の廃止により、巻頭の索引地図の「周遊指定地」の緑の網目は、「周遊おすすめ地」と改められています。

◆ 大阪近郊区間拡大
 12月1日に施行、範囲が一気に米原・近江塩津~播州赤穂や園部・谷川にまで広がりました。
 新快速を初めとする「アーバン・ネットワーク」の拡大への対応もあるでしょうが、翌1999年2月の磁気SFカード「Jスルーカード」導入が一番の理由でしょう。

◆ 明石海峡大橋開通 関西-淡路・徳島間高速バス運行開始
 明石海峡大橋は全長3,911mの世界最大の吊橋で、「パールブリッジ」の愛称があります。
 明石海峡大橋の開通により、神戸市と鳴門市が淡路島を介して一本の高速道路(神戸淡路鳴門自動車道)で結ばれる事になりました。
 大橋の開通は4月5日でしたが、関西~淡路・徳島を走る各昼行高速バスの運行開始は翌6日になりました。
 本四海峡バスの新規参入、阪神電鉄(当時)バス・山陽電鉄バスの昼行路線への本格参入が目を引きます。
 なお、自動車道上に高速舞子バス停が設置され、これに対応してJR神戸線の快速が3月改正時より舞子に停車しています。
 また、途中須磨~大磯でフェリーを利用していた品川~徳島の夜行バス〈エディ〉も明石海峡大橋経由に変更、所要時分が一気に1時間15分~20分短縮されました。

◆ スカイマークエアラインズ&エア・ドゥ就航
 航空業界の規制緩和策により、新規航空会社の参入が相次ぎました。
 スカイマークエアラインズ(スカイマーク)は9月19日・東京~福岡線で就航。
 日本では35年ぶりの新規参入になります。
 運賃は片道13,700円(大手3社は通常期27,400円)の設定。
 当初は1日3往復。
 初代のB767-300ERについては、№40で特集しましたのでご覧下さい。

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 北海道国際航空(エア・ドゥ ADO)は12月20日に東京~札幌線で就航しました。
 運賃は片道16,000円(大手3社は通常期25,000円)の設定。
 こちらも当初は1日3往復。

◆ その他
○ 阪神・山陽 梅田~姫路直通特急運転開始
○ 京王帝都電鉄→京王電鉄に改称
○ 大館能代空港・佐賀空港開港
○ 国内線航空 ジェット特別料金廃止 
 
《表紙の写真》
1月号 東海道新幹線 岐阜羽島~米原
 300系ですが、側面の表示は〈ひかり〉に見えます。
●新ステーションウォッチングシリーズ「駅むかし語り」4 羽幌線 留萌駅
●乗り物風土記シリーズ113 新型オール2階建て新幹線 E4系「Max]登場
●駅弁細見127 鯛の姿すし(三角駅)

2月号 常磐線 赤塚~偕楽園(臨)
 415系と梅。
 偕楽園(臨)駅は観梅のシーズンのみオープンする駅です。
 特急も停車しますが、上りには駅がありません。
●新ステーションウォッチングシリーズ「駅むかし語り」5 角館線・阿仁合線 角館駅
●乗り物風土記シリーズ114 常磐線の特急 フレッシュひたち
●駅弁細見128 善光会席 寺前弁当(長野駅)

3月号 明石海峡大橋(パールブリッジ) 山陽本線 垂水~塩屋
 221系快速電車。
●新ステーションウォッチングシリーズ「駅むかし語り」6 琴平参宮電鉄・琴平急行電鉄 琴平駅
●乗り物風土記シリーズ115 豪華寝台客車 夢空間
●駅弁細見129 とり釜めし(塩尻駅)

4月号 相模線 相武台下~下溝
 205系500番台と桜。
●新ステーションウォッチングシリーズ「駅むかし語り」7 勇網線 網走駅
●乗り物風土記シリーズ116 中国地方の特急
●駅弁細見130 たきこみ弁当(新見駅)

5月号 紀勢本線 紀伊長島~梅ヶ谷 
 85系〈ひだ〉。
●新ステーションウォッチングシリーズ「駅むかし語り」8 大社線・立久惠線 出雲市駅
●乗り物風土記シリーズ117 東西の古都 京都・鎌倉 春のパノラマ
●駅弁細見131 淸流育ち(立川駅)
 
6月号 石北本線 呼人駅
 キハ40×2連のローカル列車とルビナスの花。
●新ステーションウォッチングシリーズ「駅むかし語り」9 筑波鉄道・常南電気鉄道 土浦駅
●乗り物風土記シリーズ118 四国の特急
●駅弁細見132 しいたけ弁当(津山駅)

7月号 東海道本線 根府川~早川
 285系「サンライズ」。
 もちろん営業運転ではなく、1ユニット7連での運転で、よく見れば側面の表示は「回送」と読み取れます。
●新ステーションウォッチングシリーズ「駅むかし語り」10 信越本線(横川~軽井沢) 横川駅
●乗り物風土記シリーズ119 日本の風景をまとう A321特別塗装機
●駅弁細見133 鮎すし(日田駅)

8月号 東北本線 好摩~岩手川口 間
 キハ52+キハ58系×2連(盛岡色)。
 手前がひまわり。遠くは岩手山。
 この区間は現在はIGRいわて銀河鉄道の運営。
●新ステーションウォッチングシリーズ「駅むかし語り」11 中央本線(下河原線) 国分寺駅
●乗り物風土記シリーズ120 新型★特急寝台電車 サンライズエクスプレス
●駅弁細見134 宇都宮 餃子駅弁(宇都宮駅)

9月号 山陽新幹線 相生~岡山 間
 300系。
●新ステーションウォッチングシリーズ「駅むかし語り」12 栃尾鉄道・長岡鉄道 長岡駅
●乗り物風土記シリーズ121 南国の路面電車 高知市周辺-土佐電気鉄道
●駅弁細見135 日本紀行味めぐり(名古屋駅)

10月号 山陽新幹線
 500系〈のぞみ〉の先頭部分。
 500系運用が10月3日改正で増えているので、それに合わせた掲載でしょう。
●乗り物風土記シリーズは特集編となり、日本全国を走る「トロッコ列車」が取り上げられています。
 「嵯峨野トロッコ列車」「奥出雲おろち号」をメインに、北は「富良野・美瑛ノロッコ」から南は「球磨川渓谷トロッコ列車」まで、15列車が紹介されています。
 また、この年の7月10日に釧路で開催された「98全国トロッコ列車サミットin釧路」の模様も伝えられています。
 この特集のため、『新ステーションウォッチングシリーズ「駅むかし語り」』はお休み。
●駅弁細見136 三陸名物 鮭弁当(花巻駅)

11月号 高山本線
 具体的な撮影場所は不明ですが、飛騨川沿いを走る85系〈ひだ〉。
●新ステーションウォッチングシリーズ「駅むかし語り」13 加太軽便鉄道・和歌山軌道線 和歌山市駅
●乗り物風土記シリーズ122 新潟-2つの私鉄
●駅弁細見137 鮪素停育 マグロステーキ(紀伊勝浦駅)

12月号 新幹線「こまち」
 E3系を真上から撮っています。 
●新ステーションウォッチングシリーズ「駅むかし語り」14 信越本線・草軽電気鉄道 軽井沢駅
●駅弁細見138 いりこめし(川之江駅)
「第16回JTB時刻表フォトコンテスト」のため、「乗り物風土記シリーズ」はお休み。

《裏表紙の広告》
 この年からしばらくの間は2者が隔月で広告を掲出しています。
1月号 トヨタレンタカー
2月号 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ
 横浜駅西口の駅前に建設された、外資系のホテル。
 以前は相鉄の本社が立っていた所です。
 開業は9月24日。

3月号 トヨタレンタカー
4月号 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ
5月号 トヨタレンタカー
 草彅剛を起用。女装がちょっと…。

6月号 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ
7月号 トヨタレンタカー 
8月号 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ
9月号 トヨタレンタカー
10月号 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ
11月号 トヨタレンタカー
12月号 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ

《その他》
 「私鉄時刻表」は、2月号(103)…小田急 3月号(104)…京成 4月号(105)…京急のみ掲載され、特に告知はなかったのですが、105回を持って終了となったようです。

 房総地域の夏ダイヤは、この年のシーズンを持って終了しました。
 ちなみに、京急の夏ダイヤも、おそらく1996年が最後になっています。
 もはや鉄道で海水浴、という時代ではなくなったのでしょうか。

 9月下旬の豪雨で土讃線の繁藤~土佐山田間が不通になり、特急〈南風〉〈しまんと〉は大杉~高知を運休して分断される形になりました。
 開通は12月25日。
 これより前、8月下旬の豪雨では東北本線・上越線で一部区間が不通になり、夜行の<北斗星><はくつる><あけぼの><北陸><能登><ムーンライトえちご>で運休や途中駅折返し、迂回などが発生しています。

 そろそろインターネットも普及しつつあった頃で、9月号より会社線ページに、各社のHPのアドレスが掲載されるようになりました。 
 
《定価》
1~12月号    970円(本体 924円)

※その他のトピックス
◆ サッカーW杯フランス大会 日本初出場
◆ 郵便番号7桁化
◆ 松坂大輔 夏の甲子園決勝でノーヒット・ノーラン
プロ野球日本シリーズ 横浜(4-2)西武 MVP:鈴木尚典
日本ダービー優勝馬 スペシャルウィーク 鞍上:武豊


 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。(名前は公表しません。)