本題に入る前に。
松井秀喜選手、ワールドシリーズMVPおめでとうございます!
アメリカに行ってからは色々山あり谷ありだったと思いますが、やはり凄い選手ですね!
「JTB時刻表大研究」、今回は1996年。
国鉄分割民営化から9年弱にして、全国一律の運賃体系が崩れました。
各地のJR、私鉄、地下鉄で新線開業や電化が進み、特に首都圏の鉄道が整備されていきます。
一方で昼行急行の衰退が本格的になり、定期列車では東京近郊区間から姿を消しました。
3月16日にJRグループ全体で、加えて12月1日にJR東日本の首都圏・JR東海の中央本線でダイヤ改正が行なわれました。
また、秋田新幹線工事関連で3月30日より代替輸送が始まっています。
《1996年の十大トピックス》
◆ JR北海道・四国・九州が運賃改定
このいわゆる「三島」会社は、民営化以降経営が苦しいだろうといわれつつも、本州のJR三社と同じ運賃になっていました。
しかし、ついに1月10日になって、3社そろっての値上げに踏み切りました。
運賃自体も変わったし、特に北海道と四国・九州では、地方交通線に関わる運賃の計算方法が異なってくる事になります。
●JR北海道
1.幹線のみ … 営業キロにより「C-1」表から算出する。
2.地方交通線のみ … 営業キロにより「B-1」表から算出する。
3.幹線+地方交通線 … 運賃計算キロ(幹線の営業キロ+地方交通線の換算キロ)により「C-1」表から算出する。
(なお営業キロで10㎞に満たない場合は「B-1」表のJR北海道の運賃を見る)
●JR四国 JR九州
1.幹線のみ … 営業キロにより「C-1」表から算出する。
2.地方交通線のみ … 換算キロにより「C-1」表から算出する。
(ただし一部のキロ数では「C-2」表からの算出になる)
3.幹線+地方交通線 … 運賃計算キロにより「C-1」表から算出する。
(ただし一部のキロ数では「C-3」表からの算出になる)
●本州3社~「三島」会社にまたがる場合
全区間における営業キロ(換算キロ・運賃計算キロ)により基準額を「A-1」または「B-1」表から算出した後、「三島」会社の乗車区間の営業キロ(換算キロ・運賃計算キロ)に応じた加算額を「A-2」または「B-2」表から算出して加算する。
<例>秋田~札幌間の片道運賃
(秋田~大館~青森~津軽海峡線~五稜郭~長万部~東室蘭~南千歳~札幌)
秋田~青森 185.8㎞(営業キロ)
青森~五稜郭 172.7㎞(換算キロ)
五稜郭~札幌(東室蘭経由) 315.3㎞(営業キロ)
合計 673.8㎞ 切り上げて674㎞
これをA-1表に当てはめると9,370円
さらにJR北海道区間の中小国~五稜郭~東室蘭~札幌間の営業キロが440.9㎞あるので、A-2表から300円を加算
合計 9,670円
※ 消費税率引き上げ前の当時の運賃で、現在は9,870円。
会社が異なる以上、運賃が違ってきてもおかしくはないのですが、複数の会社をまたがる区間の運賃の計算方法は、随分と複雑になってしまいました。
なお、JR九州はこれとは別に、11月1日にグリーン料金・指定席料金の改定を行なっています。
◆ 山陰本線・北近畿タンゴ鉄道一部電化 電車特急運転開始
山陰本線は園部~綾部間の電化により、京都からの電化区間が城崎までつながる事になりました。
また、北近畿タンゴ鉄道(KTR)宮福線(福知山~宮津~天橋立)も電化され、これに合わせて従来のディーゼル特急<あさしお>、急行<丹後>は、電車特急各系統に再編成される事になります。
さらに新大阪からのKTR直通特急も運転を開始しました。
<きのさき> 京都~福知山~城崎
<はしだて> 京都~福知山~天橋立
<たんば> 京都~福知山
<文殊> 新大阪~福知山~天橋立
これに従来から運行されていた<北近畿>(新大阪~福知山~城崎)を加え、JR西日本は「ビッグX」と称してこの特急群のPRに励む事になります。
また当時は綾部~東舞鶴間に快速<舞鶴リレー号>が設定されていました。
この他、KTRは大阪~福知山~天橋立~久美浜間のDC特急<タンゴディスカバリー>の運行を開始しました。
6月号の「乗り物風土記シリーズ96」で取り上げられています。
◆ 紀勢本線「オーシャンアロー」デビュー
381系に変わる新型振り子特急車として、7月31日より運行を開始しました。
リゾート特急の位置づけで、グリーン車は2-1列シート、中間車には展望ラウンジが設けられ、前面展望も配慮されています。
当面は京都直通の<くろしお>を置き換える形となり、号数はそのままで<スーパーくろしお・オーシャンアロー>という長ったらしい名前になっていました。
下り
3号 京都 8:26 → 12:57 新宮
17号 京都 12:35 → 16:58 新宮
31号 京都 19:32 → 24:08 新宮
上り
4号 新宮 6:38 → 11:17 京都
22号 新宮 13:44 → 18:22 京都
32号 新宮 17:24 → 21:10 京都
10月号の「乗り物風土記シリーズ100」で取り上げられていますが、運行開始当初は特にお知らせもなく、本文に注釈があるのみでした。
◆ 宮崎空港線開業 特急〈にちりん〉・快速〈ひむか〉乗入れ
(2001年撮影)
7月18日開業。
地方空港では初の鉄道アクセスです。
特急<にちりん>は、宮崎~宮崎空港間のみの自由席利用の場合、特急料金は免除になります。
ちなみに、このホームの先端からは、空港のスポットに駐機する旅客機を見る事もできます。
以前ご覧頂いたJALの「フェニックスエクスプレス」も、このホームから撮影したものです。
◆ 急行〈東海〉特急格上げ 〈ムーンライトながら〉に特急車両導入
どちらも前年に特急<ふじかわ>に投入された373系を使用する列車です。
<ムーンライトながら>は、「大垣夜行」の名で親しまれた夜行普通列車の快速格上げ・373系置き換えに伴って生まれたもので、グリーン車は廃止、普通車は下りは東京→小田原間、上りは大垣→熱海間が全車指定席になりました。
下りでは自由席に乗るためには、小田原まで先行する普通列車を利用しなければならなくなり、「面倒くさくなったなあ。」とか思ったものです。
新幹線開業前から東海道本線一筋で走り続けた急行<東海>の消滅は、急行の本格的な衰退を象徴していたといえましょう。
なお、<ムーンライトながら>がらみで東京~静岡間の普通列車1往復も373系となり、<ムーンライトながら>が臨時格下げになった現在に至っても走り続けています。
◆ 飯田線に〈伊那路〉 徳島線に〈剣山〉新設
どちらも、「こんな路線に特急?」と驚かされたものです。
飯田線はかつて急行<伊那路>が走っていましたが、高速バスとの競争に敗れて廃止になり、定期列車は久しく普通(快速含む)のみになっていました。
特急<伊那路>はやはり373系を使用、上述した<ムーンライトながら>と運用が一体になっていました。
特急<剣山>は2往復を新設・1往復は急行<よしの川>の格上げで、1往復は高知直通でした。
5月号の「乗り物風土記シリーズ95」で、ボンネットバスと共に取り上げられています。
「急行王国」だったはずの四国の急行はついに、<よしの川>の1往復だけになってしまいました。
◆ 八高線電化 埼京線は恵比寿へ延長
八高線は3月18日に八王子~高麗川間が電化、川越線(川越~高麗川)との直通運転に改められました。
また、中央線快速の高麗川直通列車も設定されています。
この電化により東京都内からは私鉄も含めて非電化路線は全てなくなり、関東1都6県でも、非電化のJR線は非電化で残った八高線・高麗川~倉賀野間の他は、千葉県の久留里線、栃木県の烏山線、及び茨城県の水郡線のみになりました。
◆ 秋田新幹線工事で田沢湖線バス代行 北上発着〈秋田リレー〉運転
3月30日に田沢湖線は全線で運転を休止、代替輸送として本来は普通列車用のキハ110系の一部を特急仕様にして特急<秋田リレー>号に充当、北上~秋田間(北上線経由)で運行を開始しました。
下り10本、上り11本を設定、北上~秋田間を最速1時間53分で結びました。
(停車駅:横手・大曲 2往復のみほっとゆだにも停車)
キハ110系は、工事終了(=秋田新幹線開通)後、一般仕様に改装して他のローカル線に転用しました。
短期間のイレギュラーな代替輸送とはいえ、民営化後のJR東日本では初のディーゼル特急になりましたが、今後同社で新たなディーゼル特急が設定される可能性は、ほとんどないでしょう。
9月号の「乗り物風土記シリーズ99」で、東北新幹線や特急<はつかり>(485系リニューアル車)と共に取り上げられています。
◆ 営団南北線・大阪市営長堀鶴見緑地線延伸 在来路線と接続
両路線とも新規開業当時はJR線からの支線のような性格で、他の地下鉄路線とはつながっていませんでした。
営団南北線は3月26日に駒込~四ツ谷間が開業して他の営団・都営6路線と接続。
大阪市営の鶴見緑地線は12月11日に心斎橋~京橋間が延伸しましたが、詳報は翌年の1月号になります。
この時より線名に頭上を走る通の名が付け加えられました。
◆ 東京臨海高速鉄道・東葉高速鉄道開業
東京臨海高速鉄道は東京テレポート~新木場間という、やや中途半端な開業。
当初は70系の4連が折返し運転を行っていました。
「りんかい線」の愛称がつくのはもう少し先になります。
東葉高速鉄道は開業と同時に営団東西線と相互直通運転を行っています。
この他、神戸電鉄公園都市線が、ウッディタウンまで延伸しました。
◆ その他
○ <ファミリーひかり>運転・<おおぞら>に「ちゃいるどさろん」
○ 小田急ロマンスカー「EXE」運行開始
○ 大阪シティエアターミナル(OCAT)オープン
○ 航空各社 新運賃制度導入
○ 南紀白浜空港ジェット化
《表紙の写真・グラビア連載記事》
1月号 函館本線 石倉~落部
内浦湾沿いを快走する281系<スーパー北斗>。
後方に駒ヶ岳が見えます。
● ステーションウォッチングシリーズ81 山形駅
● 乗り物風土記シリーズ91 わくわく乗り物大集合!東京ベイエリア
● 駅弁細見104 鯛の浜焼弁当(新尾道駅)
2月号 紀勢本線 二木島駅
キハ85系<南紀>が、漁港に面した駅を通過。
● ステーションウォッチングシリーズ82 宇都宮駅
● 乗り物風土記シリーズ92 冬の第3セクター鉄道 秋田内陸縦貫鉄道
● 駅弁細見105 古代弁当 縄文の糧(青森駅)
3月号 東海道新幹線 三島~新富士
300系と、手前には菜の花畑。バックに富士山。
● ステーションウォッチングシリーズ83 大分駅
● 乗り物風土記シリーズ93 リニューアル京阪特急 ダブルデッカー
● 駅弁細見106 ぼんかま(伊東駅)
4月号 肥薩線 西人吉~渡
キハ58+65の急行<えびの>と桜。
<えびの>はブルー一色の「シーガイア」カラーで、ヘッドマークもついています。
● ステーションウォッチングシリーズ84 甲府駅
● 乗り物風土記シリーズ94 私鉄特急 ロマンスカーEXE
● 駅弁細見107 たこ寿し
5月号 北陸本線
681系<スーパー雷鳥>。
● ステーションウォッチングシリーズ85 大船駅
● 乗り物風土記シリーズ95 徳島線にデビュー 特急剣山/四国山中を行く定期観光 ボンネットバス
● 駅弁細見108 井の膳(東京駅)
6月号 伊豆急行線 川名~富戸
251系<スーパービュー踊り子>。
なお、列車はJRですが、JR以外の路線が表紙の写真で使われるのは、たぶん初めて。
● ステーションウォッチングシリーズ86 船橋駅
● 乗り物風土記シリーズ96 ニューフェイス5種 北近畿を走る特急
● 駅弁細見109 かしわめし弁当(津和野駅)
7月号 高徳線 讃岐相生~阿波大宮
四国色のキハ28+58。
● ステーションウォッチングシリーズ87 川越駅
● 乗り物風土記シリーズ97 レールをたのしむ 飯田線
● 駅弁細見110 かにめし(長万部駅)
8月号 信越本線 軽井沢~中軽井沢
189系<あさま>。もちろん<あさま>色です。
野菜畑と浅間山。
● ステーションウォッチングシリーズ88 藤沢駅
● 乗り物風土記シリーズ98 レールをたのしむ 小樽交通記念館
● 駅弁細見111 鮎すし(延岡駅)
9月号 小海線 小淵沢~甲斐小泉
キハ110と八ヶ岳。
● ステーションウォッチングシリーズ89 佐賀駅
● 乗り物風土記シリーズ99 レールをたのしむ 東北新幹線
● 駅弁細見112 栗おこわ(倉敷駅)
10月号 高山本線 飛騨小坂駅
キハ85系<ひだ>同士の交換。
● ステーションウォッチングシリーズ90 前橋駅
● 乗り物風土記シリーズ100 スーパーくろしお オーシャンアロー
● 駅弁細見113 くるみ山菜壽司(越後湯沢駅)
「乗り物風土記シリーズ」が100回となり、過去に取り上げられた乗り物のリストが掲げられています。
第1回は1987年5月号の呉線でした。
やはり国鉄(JR)の縛りがなくなったからか、ボンネットバスからジャンボジェットまで多彩です。
11月号 函館本線 礼文~小幌
寝台特急<北斗星>。
● ステーションウォッチングシリーズ91 熊本駅
● 乗り物風土記シリーズ101 レールをたのしむ 信越本線碓氷峠
● 駅弁細見114 蝦夷わっぱ(旭川駅)
12月号 特急「(ワイドビュー)しなの」 中央本線 奈良井~藪原
こうして見ると、この年の表紙は、JR東海の特急が(新幹線も含め)4回登場した事になります。
● ステーションウォッチングシリーズ92 郡山駅
● 駅弁細見115 手打ちそば弁当(出雲市駅)
「第14回JTB時刻表フォトコンテスト」受賞作発表のため、「乗り物風土記シリーズ」はお休み。
《裏表紙の広告》
トヨタは8月で終わり、以降、偶数月は月代わりになります。
1月号 山一證券 山一MMF(マネー・マネージメント・ファンド)
2月号 トヨタ トヨタカード
3月号 山一證券 山一MMF(マネー・マネージメント・ファンド)
4月号 トヨタ セプターステーションワゴン
5月号 山一證券 山一MMF(マネー・マネージメント・ファンド)
6月号 トヨタ カリブ
7月号 山一證券 山一MMF(マネー・マネージメント・ファンド)
8月号 トヨタ グランビア
9月号 山一證券 山一MMF(マネー・マネージメント・ファンド)
10月号 日本生命 ふれ愛家族96
11月号 山一證券 山一MMF(マネー・マネージメント・ファンド)
12月号 ツムラ ツムラの日本の名湯
《その他》
「私鉄時刻表」は、
1月号(83)…京成
2月号(84)…阪急
3月号(85)…阪急(Ⅱ)
4月号(86)…関東周辺の私鉄
5月号(87)…小田急
6月号(88)…阪神
7月号(89)…西武
8月号(90)…関東周辺の私鉄
9月号(91)…京成
10月号(92)…東急
11月号(93)…京王
12月号(94)…京急
「関東周辺の私鉄」
4月号…東京臨海新交通「ゆりかもめ」・相鉄・横浜市営地下鉄・東京モノレール・江ノ電・横浜新都市交通シーサイドライン・湘南モノレール
相鉄が周辺の中小と同列の扱いになってしまいました。
8月号…新京成・東葉高速・東京臨海高速・横浜市営地下鉄・東京モノレール・埼玉新都市交通ニューシャトル・小湊鉄道・鹿島鉄道・関東鉄道・千葉都市モノレール
京成と東京モノレールが割と頻繁に取り上げられますが、やはり空港アクセスだからでしょうか?
《定価》
1~12月号 950円(本体 922円)
※その他のトピックス
◆ O157食中毒事件
◆ 民主党結成
◆ 「ポケモン」ゲームソフト発売
プロ野球日本シリーズ オリックス(4-1)巨人 MVP:トロイ・ニール
日本ダービー優勝馬 フサイチコンコルド 鞍上:藤田伸二
申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。(名前は公表しません。)