№45 バスマガジン vol.37(講談社) 2

 昨日の続きです。
 なお、「レビュー」といいながら、個人的な「昔話」とか、「オピニオン」とか、あっちへ行ったりこっちへ行ったりと多分に支離滅裂な所もありますが、どうかご勘弁を。

◆ 今月の気になりバス事業者 東北急行バス
 このコーナーは「比較的小規模で知名度も低く」、しかし「キラリと光る斬新なサービスを提供する事業者」を紹介してきているので、伝統のある東北急行バスとは結構意外なチョイスだと思います。
 私自身、遠い昔に仙台行の夜行便を2度ほど利用した事がありますが、何分真夜中の話ゆえ、お見せできるような画像がありません。
 そこで、まず、21年前の1988年12月28日に乗車した、山形→東京線の昼行便(今年1月に廃止)の画像をご覧頂きます。

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(上)恐らくP-LV719Rと思われる、当時としては最新鋭のSHD。どこかのSA(国見・那須高原・蓮田のいずれか)で休憩中に撮影。
(中)車内は4列シート。トイレにカード式電話もあり、当時の長距離バスとしては充分デラックスな仕様だったのでは。
(下)当時は山形自動車道が全通しておらず、宮城川崎ICまでは一般道を経由した。笹谷峠を越えて、雪道を下って行く。


 ちなみに、当時の東北急行バスの時刻表がありますのでご覧頂きます。
 今とはかなり異なり、東京~仙台・山形で昼夜各1往復のみでした。

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 もう一枚、2004年に廃止された貸切バスです。
 ちょうど20年前の横浜博覧会の時に駐車場で撮影したものです。

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 同社の場合、最近は大阪線も運行して、若干社名にそぐわない部分もあるのですが、全体的に路線・ダイヤが縮小傾向にあるのが少々残念です。
 車両面での質の向上に力を入れているのが、現在の状況でしょうか。
 車両と言えば、東京~新庄線は運行開始当初はボルボ・アステローペを使用していたはずですが、一言も触れられていませんね。
(山形交通はスーパークルーザー(FHI)。)
 なお、東雲の車庫は都営バスの深川〔営〕・東雲工場のすぐそばにあり、りんかい線の東雲駅からも歩いて行けます。

◆ おじゃまします バス会社潜入レポート vol.37 京福バス
 京福電鉄(福井支社)が2度の正面衝突事故を受けて全線で運行を停止した時、代行バスとして本州の各地から急遽中古車が多数購入されました。
 この中に、東武バスと思われる3ドア車も含まれていたのですが、現在は既にリタイアしたようです。

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 2006年8月25日撮影。
 福井競輪輸送でした。
 書道家デザインの高速車などはまだ撮っていないなあ。

◆ 「公共交通回帰」にかかるバスの未来
 福島交通・茨城交通・岩手県北自動車を傘下に納めた(正確には岩手県北はまだ)「みちのりホールディングス」の松本順代表取締役へのインタビュー。
 それにしても福島・茨城もさる事ながら、岩手県北自動車が再生支援の要請をしなければならないほど経営が悪化していたと言うのは、個人的にはかなり意外。
 同じ岩手県の岩手県交通が、中小事業者の合併の課程で経営難から労使紛争が頻発するなど相当混乱し、国際興業の資本が入ってようやく落ち着いてきたのとは対照的で、自主的に健全な経営を行なってきていたという印象がありましたから。
 全体的にはビジネスの世界の話になり、私は正直この分野は苦手ですからあまり書ける事はないですが、高速バスの予約システムの統合は、やはり「みちのりHD」に限らず、どの事業者もすぐにやらなければならないでしょう。
 とりあえずJRグループとか、京王・阪急・西鉄・北海道中央などの最大手が音頭をとって行なうのが一番でしょうか。

◆ Close-up NEWS
(ここから先は「バスマガジン」から多少離れた、多少オピニオン的な記述になります。また、政治的な部分も多少あります。予めご承知置きください)
 例の高速道路「ETC1000円割引」については、色々な所で触れられており、当ブログでも開設2日目に、本当に簡単ですが取り上げました。
 その夏休み中のお盆期間中の高速バスの利用についてニュースとして取り上げられており、地震や台風の影響もあったが、高速バスの利用者が前の年に比べて1割以上、四国・九州は2割近くも減少したとしています。
 また、これはGW中の話ですが、渋滞に巻き込まれた結果、通常の2倍以上の時間がかかった便もあったと記されています。
 お盆期間中の運行状況ですが、実は私鉄総連(全国の民営の鉄道・バス・タクシーなどの事業者の労働組合)がこの期間中の高速バスの運行状況の調査をしていて、先月29日に集計結果を公表しています。
 詳しくはそちらをご覧いただきたいのですが、特に2時間以上の遅延が全集計中の1.8%もあり、もっとも酷いケースでは、所定5時間45分の便が3倍の16時間38分を要し、途中から共同運行会社の車両で代走したと言う事です。
 (ちなみに西鉄の東京~福岡の夜行「はかた」号は14時間20分。)
 仮に朝7時に出発しても、目的地到着が23時38分。
 なにか酷いというより、どこか狂っていると思います。
 ETC割引による大渋滞は既に春休みとか、GW中で発生していて、ニュースでも報道されているのだから、多少は渋滞を敬遠して自粛もあるのかなと思っていたのですが、甘かったようです。
 評判の料理店などでランチタイムに行列ができる、あれと同じ感覚で皆出かけるのでしょうか。
 こちらは関係ない者まで巻き込まれるのでより深刻です。
 さらに、ご存知の通り、8月30日の総選挙で民主党が圧勝し、政権が交代しました。
 民主党はマニフェストとして「高速道路無料化」を掲げており、政権を獲得した以上、これを実行する義務が生じた事になります。
 もちろん完全無料化になれば高速バスも高速料金を払わなくてすむから、コストダウンや運賃値下げなどのメリットも発生するかもしれません。
 しかし、それ以上に乗用車が高速道路に集中して(特に地方は高速道路と一般道の格差が都会以上に大きいように感じるので)、とてつもなく惨い大渋滞が発生する懸念があります。
 そうなると、特に高速バスに経営を依存せざるを得ない地方事業者は大打撃を被るでしょう。
 私鉄総連は今回の集計を元に、関係機関に年内のETC割引を中止するよう要請するとしています。
 しかし、この破壊的な渋滞は、一般の大衆が引き起こしている事に原因がある以上、それだけでは不十分です。
 世論に対しても説得活動を行なう必要があるのですが、果たしてそれが受け入れられるか…となると、これまでの経緯からして相当疑問です。
 何しろ一方では、「ETC割引で○○へ行こう!」なんて旅行ガイドが書店に並んだりしているのですから。
 それに、実は私鉄総連自体、ETC割引への批判はしても、それまでの各種行動(規制緩和反対、タクシー自由化反対、など)のような、あからさまな抗議活動を行なえていません。
 先に上げた、支持政党であるはずの民主党の高速料金無料化のマニフェストがあるのは明らかでしょう。
(ちなみに私鉄総連は、民主党が政権を奪回して本来なら万々歳のはずなのに、総選挙の直後も、鳩山新政権発足後も、明確な声明や見解は一切発表していません。)
 私鉄総連は一貫して公共交通の保護を訴えており、今回の高速バスの問題でも事業者への助成や、トラック・バスへの優先通行策の実施を訴えていますが、私自身の感触では、鳩山政権がそれをやってくれるかどうかは疑問に思えます。
(特に事業者への助成は、「税金のムダ」と一蹴されそうな気がする。)
 今後私鉄総連は、政権を獲得した支持政党の政策と、一般大衆の個人主義的な行動、それに事業者の経営の悪化の板ばさみに合い、かなり苦しい立場に追い込まれそうです。
 私個人としては、せめてバスファンは公共交通を大いに利用しましょうとしか言えませんが、私自身、休日毎に酷い遅延が常態化するようだと、正直高速バスは利用しづらくなりそうです。

 ちなみに鳩山総理大臣は温室効果ガスの25%削減を国際公約に掲げ、各国の受けも良いようです。
 しかし、実現のためには産業界だけでなく、一般の大衆のライフスタイルをも大きく変えなければならないと思います。
 特に、マイカーの存在はかなり大きな問題になりそう(たとえ大半がエコ・カーに置き換わったとしても)で、抑制策も必要になるかと思いますが、今の所そこまで踏み込んだ発言は聞こえてきません。
 高速料金を無料化して、つまりジャンジャンマイカーを使ってくれ、というのでは、果たして目標が達成できるのか、疑問に思うのは私だけでしょうか…。

◆ 都府県別・地域別路線バス全方位レポート vol.37 茨城県
 茨城県というと、関東鉄道・茨城交通・日立電鉄交通サービスの各グループが3大大手になりますが、最近は例によって小規模な事業者も多くなっているようです。
 取手市のコミュニティバスで使われているエアロミディMEには、いずれも「何だか解からない」メッセージがびっしり書き込まれていますが、住民へのヒアリングが元になっていたのですか。
 東南部ルート専用車に書き込まれた文章が紹介されていますが、機会があれば、他のルートのメッセージも読んでみようと思います。

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 これは以前もご覧頂きましたが、大利根交通自動車が運行する中央循環東ルートです。
 なお、「小堀(おうほり)循環バス」については何も触れられていませんでしたね…。
 鹿島鉄道が廃線になってはや2年以上が立ちました。
 関鉄グリーンバスが代替路線を運行していますが、運行を支援する「かしてつバス応援団」というのがあるそうです。(組織は鉄道が存続していた頃からあった模様。)
 何より、高校生が中心というのがいいではないですか!
 今後は、沿線に来年開港が予定されている茨城空港(百里基地の転用)が同路線に影響を与えそうです。
 海の物とも、山の物とも知れない空港ですが、これで同路線に空港アクセスの機能が加わり、利用者が増えると良いと思います。
 
 今回は前後編にだらだらと長くなって申し訳ありませんでした。
 高速バスの問題についてはあくまで個人的な見解であり、他の組織等からの介入は一切ありません。
 この私の見解について意見がありましたらお寄せ頂きたいと思います。ただし、申し訳ありませんが、当ブログはコメントは受け付けない事にしていますので、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し私の意見を書いて返事をしたいと思います。
 また、この他にも質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。(名前は公表しません。)