№28 「BUS JAPAN バス・ジャパン」 9(最終回)

 「バス・ジャパン」の№12~15は、年刊で発行されました。
 私自身が撮影した写真も交えて振り返ってみたいと思います。
 なお、なにぶんにも20年位前の書籍の事ですから、連載を通じて思い違いをしている部分もあると思います。
 予めご了承下さい。

 №13「昭和の名車たち」(平成2年6月1日発行)
 定価1,500円(本体1,456円)。
 冒頭で「がんばれ!オールドタイマー」と題して、全国に残る「名車」の乗車ルポ。
 続いて「心に残る昭和の名車・15選」。
 私自身も、「心に残る名車」かどうかはわからないのですが、数枚公開してみたいと思います。

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 盛岡バスセンターで撮影したいすずBU20KPです。(撮影年不詳)
 そのユーモラスなフロントマスクで「オバQ」の愛称がありました。
 一台が日本バス友の会で保存されています。

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 蒲原鉄道の日産ディーゼル4R95(推測)で、当時の鉄道の車庫に隣接するバスの車庫で、職員の御協力で撮影していただきました。

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 1985年、初めて行った北海道の名寄で撮影した日野RB系。
 さすがに「まだこんな車が走っているのか!?」と思ったものです。

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 こちらは確か1987年に長野原駅(長野原草津口駅)で撮影した日野RV系です。

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 草津駅前で撮影した滋賀交通のMR。
 撮影年不詳ですが、当時の滋賀交通は結構こういう感じの古い車が多かったような気がします。

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 これも1985年に国鉄釧網線の斜里駅(知床斜里駅)前で撮影した斜里バスのB9系。

 「BUS BODY WATCHING」はまずは昭和自動車。
 「オバQ」を初め、昭和40年代後半の車両が相当数残っていました。

 第2特集で奈良交通を取り上げています。
 「奈良交通のあゆみ」に続いて、「パノラマ定観 奈良公園名所「A1」コースに乗る」と題し、天窓が設けられたパノラマカー使用の定期観光バスの乗車記があります。
 実は、この車両には私も乗車した事がありました。

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 1990年3月7日、「早朝の奈良公園名所」コースに乗車した時の撮影です。
 「奈22か1100」、P-HU276BA。

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 そして「BUS BODY WATCHING」。
 今にして思えば、この構成は後の「ハンドブックシリーズ」につながっているように思えます。

 特集の後は「1989年のバス業界」と題して、この一年間の業界の動きを振り返っています。
 やはり高速バス関連に大半が割かれ、特に夜行でダブルトラッキングが大きくなったとしています。
 また、深夜急行バスの運行開始、車両のグレードアップについても触れられています。
 その関連か、続いて「深夜急行バス体験記」として、国際興業の池袋→大宮線乗車ルポ。
 「駅に着いて、それからの足が課題」としています。
 最後に、種村直樹氏のルポ「シリーズ フリーきっぷの旅① 伊東観光フリーパスの旅」。

№14「長距離ローカルバスの旅」(平成3年6月1日発行)
 表紙は東海自動車の沼津~土肥・松崎線・特急「スーパーロマンス」号で、このバスは、1991年に運行を開始した小田急・JR東海相互直通の特急あさぎりに合わせ、フロントと公式側は小田急(20000系〔RSE〕)、リアと非公式側はJR東海(371系)のカラーに塗られていました。
(現在は名前もなくなり、カラーも小田急グループ統一色に変更)
 冒頭に「名金線に花咲くころ」と題し、荘川桜の下や白川郷を走るJR東海バス(一部岐阜バス)の写真が並んでいます。
 カラーでないのがなんとも残念。
 ここからJRバスの姿が消えて、早7年になります。
 特集ではまず、羽幌線転換バス(旭川~幌延)、特急「ありあけ号」(長崎~熊本、全線一般道で途中フェリーを利用)、東武鉄道の水上~鬼怒川温泉特急バスの乗車記。
 続いて、その他の長距離ローカルバス30路線の紹介。
 大半は乗客が減少するとか、高速道路の開通で高速バスに立て替えられるとかで、廃止になってしまっています。
 「BUS BODY WATCHING」は、ついに今月一杯で一般路線が全線廃止になるジェイアール東海バス。
 モノコックも多かったし、瀬戸では大学のスクールバスも受託していたのですね。
 (現在は大学の自主運行の模様。)
 第2特集はヤサカ観光バスグループ。
 「ヤサカ観光バスグループのあゆみ」の後、「バス・ジャパン・ツアー」として、東京ヤサカ観光の“サンシャイン32”(スーパークルーザー)に乗って、この連載の第4回で取り上げた千曲バスの旧型車やボンネットバスを見に行く、というツアーの乗車記。
 1991年の時点でも、あの2形式がまだ残っていたんですね!
 「BUS BODY WATCHING」は、ヤサカ観光バスを京都・大阪・東京(+滋賀ヤサカ自動車)で分けて紹介しています。

 特集の後は「1990年のバス業界」と題して、この一年間の業界の動きを振り返っています。
 やはり高速バス関連に大半が割かれていますが、そろそろ路線によっては明暗も分かれてきたようです。
 その他には地方路線の分社化、平成元年規制対応など。
 そして、「超長距離バスの居住性」と題し、鈴木文彦氏が名古屋~鹿児島線「錦江湾」号(現在は廃止)に乗車して、長距離バスのあり方について提言しています。
 なお、「BREAK TIME」のコーナーで、「バスラマ・インターナショナル」(ぽると出版)の創刊が告知されています。
 最後に、種村直樹氏のルポ「シリーズ フリーきっぷの旅② 淡路島フリークーポン券の旅」。

№15「全国定期観光バスめぐり」(平成4年7月1日発行)
 まず春夏秋冬各1コースずつを選んだ乗車記。
 続いて定期観光バスのあり方を考える座談会。
 そして、1992年当時の定期観光バス全てのコースの紹介があります。
 現在は廃止になってしまった場所が相当ありますね。
 私が一番最初に乗った定期観光バスは、中学生の時の千葉交通の「銚子磯めぐり」でした。
 確かヒゲタ醤油の工場を見学して、醤油1瓶をお土産としてもらい、「地球の丸く見える丘展望台」などを回ったものです。
 当時は夏期2便、冬季1便運行でしたが、乗客が減っていったのか、だんだん運行が縮小され、千葉交タクシー移管の後、つい最近廃止されてしまいました。
 翌年に乗った仙台市営も廃止されてしまったし、例えば神奈川県でも京急は廃止、箱根登山バスは現在はわずか1コースです。
 新車両を入れた横浜市営や江ノ電が頑張っている程度でしょうか。
 観光地といえども、マイナーな場所(先ほどの銚子のような)は難しいようです。
 「BUS BODY WATCHING」は京阪バス。
 ボンネットバス1台を保有していましたが、既に休車状態だったようです。

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 ここでも1枚。
 1986年5月2日に京都市の定期観光バス「市内半日コース」に乗車した時の撮影です。
 乗車したのは一番左の車両で、P-HU235BAと思われます。
 あいにくの雨模様でしたが、小粒ながら楽しいツアーでした。
 
 第2特集は常磐交通自動車(新常磐交通自動車)。
 「常磐交通自動車のあゆみ」の後、平営業所の一日を密着リポート。
 その後に「BUS BODY WATCHING」。
 
 特集の後は「1991年のバス業界」と題して、この一年間の業界の動きを振り返っています。
 高速バス関連では、初めて夜行高速バスにダブルデッカー車(東京~山口線「ドリームふくふく」・後にSHD置き換え後、現在は廃止)が投入された事が車両面での特色としています。
 その他には東急電鉄→東急バスの分社を初め、活発化する地域分社、超低床車(まだノンステップとは行かないが)の導入も取り上げられ、東京モーターショーの話題では、1992年発売開始の三菱ふそう・新エアロスターの写真が掲げられています。
 その後にバスツアーの報告。
 最後に、種村直樹氏のルポ「シリーズ フリーきっぷの旅③ あいづフリー一日乗車券の旅」。

 巻末の次号の予告には「ユニークバス大集合」とあり、全国各地のレトロ調バスやボンネットバスを紹介、合わせて東海自動車と北陸鉄道の「BUS BODY WATCHING」を掲載とありました。
 ただし、「発売日未定」。

 結局、この「16号」が発行される事はありませんでした。
 代わりに、特定の事業者の歴史や車両データ等に特化した「バスジャパン・ハンドブックシリーズ」が始まり、第1弾として「東京都交通局」が「平成5年7月20日」に発行される事になりました。
 この辺の経緯はわかりません。
 このシリーズはその後「ニューハンドブックス」「ハンドブックシリーズR」と続き、現在に至る事になります。

 駆け足のつもりが、なんだかダラダラとした連載になってしまいました。
 バス趣味の黎明期の刊行と言う事で、資金面でも大変だったみたいだし(最終15号まで、表紙以外はカラーページが一切なかった)、発売の遅延も相次ぎ、1号1号の製作には相当な困難があったと思われます。
 しかし、一方で一般の人にも読んでもらえそうな情緒的な読み物もあり、読者との交流にかなり力を入れている事も窺え、鉄道に比べたらまだまだマイナーなバス趣味の裾野を、何とか広げようという意図も感じました。
 バス趣味専門誌がなかった時代、バス趣味の新しい世界を与えてくれた「バス・ジャパン」誌には、改めて御礼を申し上げます。
 と同時に、「バスジャパン・ハンドブックシリーズR」の更なる充実を期待したいと思います。
(とりあえず次回刊「阪急バス」に期待。)

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。(名前は公表しません。)